業務停止命令110日間「化血研」出身を隠したい公明党代議士

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 簡単には、過去のことは水に流せないものである。40年以上にわたる組織ぐるみの不正が発覚し、化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)に、史上最長の110日間の業務停止命令が下された。実は、公明党の江田康幸代議士(59)は、そこの研究者だったのだ。周囲には、不正は知らなかったと明かしているが……。

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 さる1月8日に、厚労省が化血研に言い渡した業務停止期間は、15人の死者を出すという事態を招いた、ソリブジン薬害事件の105日を上回った。

 社会部記者が解説する。

「ソリブジンよりも悪質とされたのは、第一に、血液製剤を国の承認とは異なる方法で製造していた期間が、40年以上という長期に及ぶこと。さらに、薬害エイズ事件で、国の検査が厳しくなると、でっち上げた書類に紫外線を浴びせて古いものに見せかけようとしたり、組織ぐるみで偽装工作を行っていたことなどです」

 まさに、医薬品への信頼を失墜させるような不正に手を染めていたわけだ。

 そして、その期間に重なって、江田代議士は化血研で働いていたのである。

 プロフィールを見てみると、熊本大学大学院の工学研究科を経て、1981年、化血研に入所。それ以降、エイズやアレルギーなどの治療薬の研究開発に携わっていた。19年間勤務するが、00年、公明党の比例代表九州ブロックから初出馬し、議席を獲得。

 現在、6期目のベテラン代議士である。

■厚労大臣ポスト

 地元熊本の政界関係者が言う。

「最初、出馬話が持ち上がったとき、江田さんは温厚な研究者タイプなので、自治会やPTA活動に熱心だった奥さんの方が政治家向きではないかと言われていたくらいです。化血研では、ワクチンの研究をしていたと、江田さんから聞いたことがある。地元では、19年も働いていたのだから不正を知らなかったはずはないと、陰口を叩く人もいます」

 そのため、イメージを重視する公明党が次の総選挙で、江田代議士を候補者から外すのではないかと噂されているという。

 そこで、江田代議士に聞くと、

「私自身、化血研では問題のあった製造部門に所属したことはありません。今回の問題に驚くとともに、誠に残念でならない。むろん、在籍時に不正にかかわったことはまったくなく、見聞きしたこともありませんでした」

 となれば、とばっちりを食ったと言えなくもない。

 しかし、創価学会に詳しいジャーナリストの乙骨正生氏が指摘する。

「博士号を持っているというキャリアが買われ、党内で高い評価を得ていました。その結果、経産大臣政務官や環境副大臣も歴任してきたのです。与党内における公明党の存在価値が高まれば、厚労大臣のポストも夢ではなかった。ですが、化血研の問題に足を引っ張られ、これからの出世の道は険しくなったと言えるのではないでしょうか」

 選挙という通過儀礼にどう響くか。

「ワイド特集 大人たちの通過儀礼」より

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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