朝日新聞がOB6千人に送ったムゴい「寒中見舞い」

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 仰々しくも封書で届いた “寒中見舞い”には、〈「朝日新聞」購読給付に関するお願い〉とのタイトル――差出人は朝日新聞社長の渡辺雅隆氏だ。新年早々、朝日のOBに送られたその手紙の中身を紹介しよう。

〈社友のみなさまには、これまでモニターをお願いする形で当社が購読料を負担し、朝日新聞を無料でお届けしてまいりました。しかしながら、昨今の経営状況に鑑み、2016年3月末日を以て終了させていただきたいと存じます〉

朝日新聞東京本社

 慰安婦と吉田調書問題が響いて昨年上半期の部数は700万部を下回り、前年同期比約4%減と他紙より大幅なダウンとなった。再生を託され、14年12月に就任した新社長が年初めに手をつけた“改革”というわけか。

「ご丁寧にも、4月から有料で購読するための手続き用ハガキが同封され、2月末までに返信して欲しいと。お屠蘇気分も吹っ飛んだ」

 とは、手紙を受け取ったOBだ。朝日新聞の購読料は月4037円で年間4万8444円。20代後半で年収1000万円がザラという業界屈指の高給取りだった皆々様にとっては、屁でもない出費ではないのか。

「いやいや、実はここ数年、本社から有料化の打診があっても反対していたんです。というのは、今や朝日は現役社員より社友の数が多くなり、2年前に当時の木村伊量社長が企業年金の給付額引き下げという鉄槌を下したばかりでしたから」(同)

 東京、大阪、名古屋、札幌、西部(北九州)には、朝日の元社員で組織された朝日新聞旧友会がある。全国に散らばるOBはざっと6000人弱とも。年金削減には渋々同意したが、その後、木村体制の下で一連の不祥事が起きた。一昨年、旧友会は木村社長の早期退任と役員の総退陣を求める抗議書を出したことで、本社幹部との間に隙間風が吹いていたのだ。

「今回の件はその意趣返しではないと思うけど、退任要求はOBの“朝日愛”があってのこと。新聞に愛着は人一倍あるから、大半は購読を続けるのでは」(同)

 手の込んだ“拡販”に見えなくもないネ。

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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