金満ドジャース入団で「前田健太」の前途多難

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〈幼い娘の事を考えると不安もありましたが、家族が一緒に過ごす時間は何物にも変えられないものと思い、ついて行く事を決めました〉

 ロサンゼルス・ドジャースへの入団が決まった広島の前田健太(27)――その妻で元アナウンサーの成嶋早穂さんのブログである。

 日本人歴代最長の8年契約だが、年俸は300万ドル(約3億6000万円)。ダルビッシュの933万ドル、同期・田中将大の2214万ドルと比べると格段に安い。

「田中がヤンキースと契約した2013年オフは、年間最優秀投手に贈られるサイ・ヤング賞の投票で、ダルが2位、岩隈久志が3位、と日本人が大活躍した直後。おまけに、FA市場に大物がいなかった。つまり、田中は運が良過ぎた」

 と、大リーグ研究家の友成那智氏が解説する。

 一方、前田は運が悪過ぎた。友成氏によると、昨季の日本人大リーガーは、肘手術で全休だったダルビッシュを筆頭に、上原浩治、和田毅、藤川球児が開幕時故障者リスト入り。開幕後も、4月下旬に田中、岩隈と故障者が相次いだ。

「昨季メジャー契約した日本人9人の年俸総額5675万ドル(約68億円)のうち、故障期間中の年俸つまり“死に金”は48%の2700万ドル(約32億円)。球団経営で許容される“死に金率”は2割程度までで、それ以上になるとGMの資質が問われかねない。結果、今オフは日本人選手に対する“故障リスク”が重視されてしまったわけ。しかも、大物投手のFAが多かったため、前田にまで手が回らなかった」(同)

 もっとも、前田を“買い叩かれた”と評するのは早計だそうで、

「出来高が高額なのです。条件は先発回数と登板イニング数で、黒田博樹のようにきちんと先発ローテを守り続ければ満額、つまり8年総額1億620万ドル(約127億円)となり、ビッグな契約と胸を張れる。ただし、米球界随一の金満球団であるドジャースには、先発を任せられる投手が9人もいる。今のところ前田は4番手と評されていますが、その地位を8年間守り続けられるかどうか」(同)

 前途は多難だ。

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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