わが化粧品業界を揺らす米マイクロビーズ「除去法」とは

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 米国がクシャミをすれば、日本が風邪をひく。かつてほどではないにせよ、今でも両国の間にはそんな力関係が残っている。昨年末、オバマ大統領がある法案にサインしたことで、わが国の化粧品業界が動揺しているのだ。

 米国で成立したのは、“マイクロビーズ除去海域法”。米国在住のジャーナリストの解説では、

「マイクロビーズは、直径0・5ミリ以下のプラスチック粒子です。水に溶け難く、その表面に化学物質が付着しやすい。この性質が原因で水質汚染を引き起こしたり、魚が食べることで人体に悪影響を及ぼす危険が指摘されていました。法案成立で、米国では2017年からマイクロビーズ入り商品の製造・販売が禁じられ、この粒子を使用した日本製品も輸入禁止になります」

 一方、日本では1980年代に発売されたマイクロビーズ入り“スクラブ洗顔料”の大ヒットを受けて石鹸や歯磨き粉、洗剤などで幅広く使用されている。経済誌記者が今後をこう占う。

「日本でも、18年前に近海の水質調査を始めた環境省が、マイクロビーズの悪影響を指摘している。数年後には、日本でも禁じられる可能性が高いでしょう」

 化粧品業界最大手の資生堂では、2年前に発売した製品からマイクロビーズを使っておらず、それ以前の製品も段階的に他の原料に替えている。だが、こうした動きは一部で、他の大手メーカーでは使用を継続しているという。業界団体の日本化粧品工業連合会に話を聞くと、

「米国以外の海外事情を調査している段階で、検討会を設置して今後の対応の協議を始めたところです」

 小さなツブツブで儲けた化粧品業界。対応にかかるコストは小さくないという。

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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