「ベッキー」不倫スクープで業界の常識は「奥さんが情報源」!?

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 優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる(俵万智著『チョコレート革命』)。スキャンダル処女とあだ名され、CM10本を誇った人気者ベッキー(31)。そんな優等生の前に現れた一球は、よりにもよって妻帯者であった。ところでこの不倫スクープ、情報源は奥さんというのが通り相場なのである。

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道ならぬ恋はジ・エンド

 報道は「週刊文春」(今月14日号)によるもので、文春は、〈相手の男の将来を憂うある音楽関係者から〉2人のLINE、すなわち「スマホを通じた私信のやり取り」を得て、それを基に記事を綴っている。

 ならばその関係者は、この極めてプライベートな文面をどうやって入手したのか。それに触れる前に、報道のあらましを振り返っておこう。

 醜聞めいたものとは縁なく芸能界の荒波を渡ってきたベッキーに、偶然がいたずらをしたのは2015年10月のことである。

 相手は旧臘(きゅうろう)、紅白初出場を果たしたバンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル(27)。もともとバンドの大ファンだったベッキーは、男とイベントを契機に知り合い連絡を取り始めた。急速に距離を縮めていくが、男には売れない頃から陰に陽に支え続けた妻がいた。しかも入籍は昨年夏のこと。

 ベッキーは11月の時点で道ならぬ恋であることを認識するも、不倫関係を続けた。離婚に向けた話し合いを進めていること、それは捗々(はかばか)しくないものの離婚成立を期待していること、ホテル外泊、クリスマスイブの密会……。LINEが赤裸々に伝えるこの交際を「ままごとみたい」と斬って捨てるのはたやすい。けれど人は砂浜で遊ぶのに飽きれば波打ち際、そこで退屈すると沖合へと向かいたくなるものなのだ。

 年が明け、男の故郷・長崎へ連れ立った2人は、あろうことか実家へ向かった。

 再び前掲書から引くと、

 長崎の梨の甘さや君が血につながる果実切りわけている

 とはいうものの、そこを取材班に直撃され、運命は暗転したというわけだ。

■スマホを直接操作

 それでは、このスクープを演出したのはいったい誰なのか。

「LINEアプリのセキュリティは相当なもので、パソコンを使って携帯電話を乗っ取ったり成りすましたりすることは困難。したがって今回は、男のスマホを直接操作してデータを抜き取ったと思われる。それが普通、できるのは一つ屋根の下に住む者ですから、奥さんということでしょう」

 と解説するのは、ITジャーナリストの井上トシユキ氏である。スマホには、4桁のパスワードもしくは指紋認証によるロックがかかっていたはずだ。

「夫が入力する場面を見ていたか、類推しやすいものだったため、奥さんはパスワードを知っていたと推察されます。指紋認証にしても、寝ている夫の指をスマホに押し当てるだけ。いずれにせよ、奥さんはやすやすと突破できたと見ています」

 LINEは、メッセージをチェックすると「既読」という印がついて、通信する相手に伝わる。裏返せば、「未読」状態のものを読み、「既読」にしてしまうと企みに足がつくのだ。

「そこで、スマホの設定を『機内モード』へ変更します。それでも画面は見られるし、ネットにつながっていない環境なので、『既読』マークがつかず、バレません。そして問題箇所を保存し、自分の携帯へ送付した後、そのメールを削除する。このようにすれば、特別なアプリを使わずとも情報を取り出すことができるのです」(同)

 その一方で、離婚問題に詳しいフラクタル法律事務所の田村勇人弁護士はこんな指摘をする。

「男性は、奥さんとの話し合いのなかで、“大切にしたい人がいる”と打ち明けているようですが、これはよくありません。“嫌いになった”と明確に伝えなければ、いつか戻ってきてくれるのではと奥さんは考えてしまうからです。そこから、“ベッキーさえいなければ!”と思いが募ったことは否定できません」

 それに加えて、

「実質的な結婚生活は3カ月ほどしかなかった。奥さんが離婚に反対してきたとありますが、1年も別居すれば裁判所は離婚請求を認める可能性が出てきます」

 一つを得ようとすれば、一つを失わねばならないと俗に言う。添い遂げたいと願うなら、歳月を犠牲にする必要があったのだ。

 ひとまず2人は不倫関係を清算したと言うが、俵さんはこうも詠む。

 赦されて人は幸せになるものと思わず恋は終身の刑

 今回の通過儀礼をしおに、恋多き女へ転じるのも選択肢である。

「ワイド特集 大人たちの通過儀礼」より

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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