商社も流通も二の足を踏む「日本マクドナルド」出資

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 日本1号店は45年前、三越銀座店の1階だった。目下、日本マクドナルドホールディングスでは、期限切れの鶏肉使用などが原因で客離れに歯止めがかからない。加えて、米国“本家”も経営不振で日本マクドナルドの株式売却を検討しているが、“救世主”は現れていない。

「マックの“救世主”には三井物産や三菱商事、セブン&アイ、イオン、そして複数のファンドの名が取沙汰されています。しかし、現時点で積極的に支援に名乗りを上げる企業は現れていません」

 こう語るのは、経済誌の外食担当記者だ。

「その理由は財務内容です。2015年1月〜9月期の連結決算は、最終損益が292億円の赤字。2年前のそれが75億円の赤字でしたから、実に約4倍にも膨れ上がった計算になる。昨年12月の売上高は45カ月ぶりに前年同月比を5%上回りましたが、今後店舗の閉鎖が相次ぐことを考えれば、急激に業績を好転させるのは難しい」

 V字回復には程遠いマックだが、意外にも株価は堅調だ。外食アナリストの解説では、

「マックの株価は昨年1月末は2451円でしたが、昨年末には3070円まで上昇している。これは優待食事券目当ての個人株主が、株価を支えているから。今年も、昨年同月より高水準で推移しています」

 実は、この株価こそがマック支援を躊躇させる原因だという。

「堅調な株価が、経営実態を反映しているとは言い難い。今後下落する恐れも十分あり、ここで株を取得すれば“高値掴み”の危険性がある。そんな危険を冒してまで商社や、流通各社が今すぐに株を引き受ける可能性は低いでしょう」(先の記者)

 さらに、ファンド関係者が支援に二の足を踏む理由を挙げる。

「米国の“本家”が売却する株式は最大33%。すべてを引き受けても、経営の実権を握れるわけではない。上場廃止にでもなれば、資産価値も落ちて買いやすくなるのですが……」

 マックの社内に“スマイル”が戻るのはいつの日か。

週刊新潮 2016年1月21日号掲載

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