「自動運転」技術の上場も!? “騒ぐ申年”の注目株

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 昨年1年間の、IPO(新規株式公開)の銘柄数は92社。中でも11月4日に東証1部に上場した郵政グループ3社は大きな関心を集めたが、これを含めた82社の初値は、公開価格よりも高かった、という。

 つまりIPO株さえ手に入れば、初値で売り抜いて利益を出せる確率は9割近い、ということなのである。

「新規上場企業数は、2014年の77社から15社も増加しました。この流れは今年も続き、100社近くになると思われます」(証券アナリスト)

 さて今年は、昨年の郵政のような大型IPO案件はあるのか。

「秋にも上場、と見られているのが、JR九州です」(経済ジャーナリストの田部正博氏)

 JR九州といえば近年、豪華寝台列車“ななつ星in九州”が人気を呼び、大いに名をあげた。

「昨年6月に改正JR会社法が成立して、上場の地ならしが終わっています。時価総額は低く見積もっても3000億円と言われており、昨年の郵政並みの関心を集めるでしょう」(同)

 さらにもうひとつ、注目の企業がある。

「ベンチャー企業の、ZMPがそれです」(同)

 ZMPは2001年創業。二足歩行ロボットの開発に始まり、現在は“ロボカー”などの自動運転技術の分野で先頭を走る存在だ。

「一昨年、15年中の東証マザーズ上場が報じられましたが、結局昨年はなし。今年こそは、の期待が高まっているのです」(同)

 昨年5月には、インターネットサービス大手のDeNAと提携して“ロボットタクシー株式会社”を設立。

「携帯端末を利用した自動配車と自動運行のサービスを、東京五輪開催の20年に始めようとしています。そんなZMPが上場すると、時価総額は3000億円ほどになるとの試算もあります」(先のアナリスト)

■“技術”が株価を上げる

 自動運転技術に関わる企業は、その成長性から個別銘柄でも人気だ。

「その筆頭が、ZMPや名古屋大学と共同で自動運転の公道実証実験に参加している、アイサンテクノロジーです」(田部氏)

 測量・土木ソフトを手掛けるアイサンが開発した“高精度3次元計測システム”は、走行しながら道路上やその周辺のさまざまな情報を測定するというもの。

「JASDAQに上場しているアイサンの、昨年9月頃までの株価は2000円前後を行ったり来たりでした。ところがその後急に注目を集めて急騰。今や1万円に迫るところまで上がりました」(同)

 技術でいえば、最近にわかに関心が高まってきた“フィンテック”(金融とITの融合)関連銘柄も要チェックだ。その代表格が、マザーズ上場企業のインフォテリアである。

「データ連携ソフトの開発が主ですが、昨年12月にフィンテック企業のテックビューロとの事業提携を発表して以降、連日のストップ高を記録したりしています」(先のアナリスト)

 技術力のある企業の株は、株主にも大きな利益をもたらしてくれそうだ。一方、

「上り調子の企業だけではありません。今は苦境でも、長い目で見れば“買い”の銘柄もあります」(田部氏)

 例えば、東芝。昨年7月に発覚した利益水増しによる不正会計問題は、株価にも大きな影響を与えた。3月の高値535円から、年末には半額以下の214円にまで下落したのだが……。

「11年、損失隠しが明るみに出たオリンパスは、当時株価が同年最高値の6分の1、424円まで下がりました。が、今は4800円前後と、不祥事前よりも上がっています。東芝も上場廃止を免れるなら、今買って持ち続けると、オリンパスのような株価上昇となる可能性は大きい」(同)

 技術力と将来性をどう評価するか――これが銘柄選びの重要なポイントだ。

週刊新潮 2016年1月14日迎春増大号掲載

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