沖縄で独立運動が燃えさかる 日本列島が蒼ざめる「最悪シナリオ」2016(4)

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 2014年9月に行われた、英国領スコットランドの独立を問う住民投票。当事国のイギリス以外でもっともその模様が報じられたのは、おそらく遥か地球を半周した、ここ沖縄だ。

 地元紙「琉球新報」「沖縄タイムス」が連日のようにその模様をレポート。投票日には、

〈重なる沖縄の歴史〉〈主権回復の事例に〉(琉球新報)〈沖縄の模範〉〈沖縄にも確実に影響〉(沖縄タイムス)

 などという見出しで誉めそやしていたのである。

 沖縄県内ではこの2紙のシェアが9割を超える。記事を毎日読まされた県民が、「沖縄も独立できる!」となるのは当然であって、

「翁長知事の就任以来、沖縄独立の火はどんどん燃えさかっていますよ」

 と苦々しげに語るのは、在沖ジャーナリストの惠隆之介氏。

「『琉球民族独立総合研究学会』なる学会もでき、“民族自決権”という言葉があちこちで聞こえてくるようになりました。知事が辺野古埋め立ての承認取り消し訴訟を起こしましたが、政府側窓口の菅官房長官への反感は強く、来沖したら取り囲まれてもおかしくない。いずれ独立の住民投票を起こすつもりでしょう」

 もっとも、日本の憲法には独立を定めた項目などない。イギリスがスコットランドにしたように、日本が沖縄の住民投票に合意することなどありえないから、結局、独立は絵に描いた餅。そして、その裏には「中国」の影が透けて見えるのだ。

 惠氏が続ける。

「例えば、習近平の出身校・清華大学の教授は中国、沖縄双方で独立を煽るようなシンポジウムを繰り返しています。そうした場は、日本の沖縄政策の批判であふれている。それを中国のCCTVが全土に放映するものだから、中国人にとっては、沖縄は日本の一部であることを拒んでいるように見えてしまうのです」

 かくして、日本と沖縄の間を引き離す中国。もちろんその狙いは、

「基地問題です。移設を泥沼化、沖縄から米軍基地を退かせて、軍事的なプレゼンスを保つ戦略なのです」(同)

 日本にとっても沖縄にとっても、独立運動は不幸な結末しか生まないのだが。

「特集 日本列島が蒼ざめる『最悪シナリオ』2016」より

週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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