吠えまくる「小泉純一郎」を「壊れたレコード」と揶揄する人々

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 久しぶりの変人登場に、どんな爆弾発言が飛び出すのかと期待した読者も多かったに違いない。「文藝春秋」新年特別号で小泉純一郎元総理(73)が吠えまくっている。最近は、すっかり反原発の旗頭になった小泉氏の「独白録」を読んだ人の感想は。

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親バカも披露

〈首相退任後初のロングインタビュー4時間半 安倍政権、進次郎、原発……すべてを語り尽くした〉

 そんなサブタイトルがついた28ページのインタビューは、行きつけの料亭「津やま」で一杯やりながら行われたという。ほぼ全編にわたって語るのは、やっぱり反原発だ。

 詳細は「文藝春秋」を読んで頂くとして、要約すると原発事故で「安全神話」のウソに気が付いたことや、フィンランドの最終処分場予定地「オンカロ」を視察してショックを受けたこと。ドイツで自然エネルギーの開発が進んでいる等々。また、その発言がもとで、国際公共政策研究センター(CIPPS)の顧問を昨年4月に辞めたことにも触れている。

 CIPPSは、小泉氏の活動を支えるために財界が作った組織。経団連の会員企業などから寄付を募り、7年間の活動費として集めたのは実に18億円にのぼった。報酬や車、秘書など、総理時代と同じ待遇にするためだったが、「原発ゼロ」の主張に会員企業が反発、

〈それじゃ、やめる〉

 と自分から辞任を申し出たという。原発問題のほかには、強引に郵政解散を行った小泉氏が、安保法案の採決を“安倍さんは急ぎ過ぎた”とチクリ。最後は息子・小泉進次郎氏のことを聞かれ、

〈(首相になる可能性は)今見ればあるよね、他の議員に比べれば。勉強しているしね〉

 と親バカ丸出しである。

■もはや「鳩山」と同じ

 これを読んだCIPPSの関係者の怒るまいことか。

「小泉さんは壊れたレコードみたいに同じことばかり言っている。大体、オンカロの視察旅行だって我々の費用で行ったんです。ドイツの脱原発も行き詰まりを見せているのに、見習えと言われてもね……」

 元CIPPSの理事で、経済同友会代表幹事の小林喜光氏(三菱ケミカルHD会長)も困った様子で、

「原発ゼロにすべしという小泉さんの主張は短兵急すぎる。自然エネルギーだって、まともなコストで買える状態じゃありません。デフレからやっと脱却しかけている今、あの人の言うとおりにしたら日本経済は突然死ですよ」

 一方、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏によると、このタイミングでインタビューに応じたのは進次郎氏への援護射撃の意味もあるという。

「現在、進次郎氏は自民党の農林部会長という立場にあり、政府と農協の橋渡し役を任されています。いわば、農家の反発を抑える立場。そこで“安倍総理に与(くみ)しているわけではない”と暗にフォローし、資質を高く評価してみせることでバックアップしたいと考えているのでしょう」

 そんな小泉氏の晩節を心配するのは初当選が同期の深谷隆司氏(元通産相)だ。

「そもそも総理まで務めあげた人が、後の総理の政策を批判するものではありません。鳩山さん(由紀夫元総理)も元総理の名前を使って、中韓が喜ぶ発言ばかりしているけど、小泉さんのやっていることは、それと同じじゃないですか」

 現在は城南信金のシンクタンク「城南総合研究所」の名誉所長として講演に飛び回る小泉氏。ヒゲさえ生やせばサンタクロースと見まがうほどの白髪になっているが、暴走するソリの先に待っているのは、所詮「村山」「鳩山」「菅」というヘンな「元総理」の一団である。

「ワイド特集 サンタクロースのすべらない話」より

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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