元大蔵官僚の社長を解任!「セーラー万年筆」役員会

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 東証2部に上場するセーラー万年筆で12月12日、社長解任のクーデターが勃発した。解任されたのは、元大蔵省主計局次長の中島義雄氏(73)。“過剰接待や不正蓄財疑惑”で退官を余儀なくされてから、20年目の“解任劇”だった。

 大蔵省退官後の中島氏は、京セラの稲盛和夫名誉会長(83)に拾われて、コピー機器メーカーの三田工業を再建。2009年にセーラー万年筆にスカウトされたが、その年に当時の社長が食道がんで急死したことで、その後釜に座ったのである。

 中島氏の社長就任以降、セーラー万年筆の売上規模は53億〜65億円。大幅な赤字が続いたものの、今期は筆圧を調整できるボールペンの売上が好調で、11月16日には今期の黒字転換を発表していた。中島氏ご本人に話を聞くと、

「12日は定例役員会でしたが、私は出席していません。解任手続きには瑕疵があるので、弁護士と相談して法的に争う考えです。これまで新規事業を立ち上げたり、資金調達にも尽力してきた自負もある。プロパーの役員たちが、私を追い出そうとしているのでしょう。代表権はなくなっても、取締役ですから今後も出社しますよ」

 一方、セーラー万年筆の言い分は、

「実は、約1年前に他の取締役が、中島さんに講演会など私的な活動を控えて欲しいといった、3点のお願いをしたのです。それが一向に改善されないので、役員会開催の前日に“社長解職の動議を提出する”と、ご本人にお伝えしました。ところが、役員会開催の30分前に、欠席を申し出たのです。彼の立ち上げた新規事業はほとんど赤字で、会社に利益をもたらしていません」

 役人体質と脇の甘さが抜けなかったのではないか。

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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