番狂わせナシ「三菱東京UFJ」次期頭取の意外な泣き所

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 恍惚と不安、二つ我にあり。太宰治が1934年に発表した『葉』は、フランスの詩人・ヴェルレーヌの詩の一節で始まる。一方、来春から新たにメガバンクの舵取りを担うこの人も、喜びばかりでなく、不安を抱いているはずだ。

 三菱東京UFJ銀行は、今月下旬に開かれる指名・ガバナンス委員会で小山田隆副頭取(60)の頭取昇格を決定する方針だ。

「番狂わせは起きず、大本命がゴールしました」

 こう語るのは、他のメガバンクの中堅幹部だ。

「東大経済学部卒の小山田さんは、旧三菱銀行出身。

 一貫して銀行の“心臓”である企画畑を歩んできた。財務省や金融庁にパイプを持ち、5年前には親密行の十六銀行と岐阜銀行の合併を実現させました。目立つことが嫌いで、“黒子”に徹しているが、行内随一の切れ者と評されています」

 実は、行内では今年5月の人事異動で小山田副頭取が次期頭取の椅子を射止めたと囁かれていたという。三菱東京UFJの行員によれば、

「持ち株会社の人事で、小山田さんが副社長を兼務した。その一方で、対抗馬と目されていた副社長が退任し、銀行の顧問に“棚上げ”されましたからね」

 熾烈な頭取レースに勝ち残った小山田副頭取には、知る人ぞ知る意外な泣き所があるのだという。

「実は、今年に入り小山田さんは英会話を猛勉強しているのです。家庭教師を付けて土、日曜日はもちろん、夜に会合が入っていない平日の夜も、勉強をしているようです」(同)

 むろん、その英語力は人並み以上だが、これから就くポストは特上も特上なのである。

「メガバンクのトップともなれば、海外で英語のスピーチも多くなる。みずほ銀行の林信秀頭取も、三井住友銀行の國部毅頭取も、国際畑出身で英語は堪能。それで小山田さんは、引け目を感じているのではないでしょうか」(先の幹部)

 三菱東京UFJは、15年3月期決算で邦銀初の最終利益1兆円を稼ぎ出した。バンカーたる者英語力は二の次。どちらが優勢か一目瞭然だ。

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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