中国語の歌で習近平に“宣戦布告”した「イスラム国」

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 国連安保理常任理事国、いわゆるP5(Permanent 5)がほぼ総出で空爆、袋叩きに努めているのが言わずと知れた過激派組織「イスラム国」だ。だが、P5と言えば米露仏英に……一つ足りない。そう、中国だ。

 それがご不満だったのかどうか、イスラム国は8日までに、中国語で聖戦(ジハード)を呼びかけるプロパガンダ・ソングをネット上に発表した。

「〈われら聖戦士(ムジャーヒド)〉と題されたこの歌は、『イスラム教徒が目覚めるように』という意図の下、“戦場で死ぬのがわれらの夢”“武器を取れ”などと北京語で呼びかけています。アカペラの曲が深みのある男声コーラスで歌われ、デジタル技術も駆使されていて耳馴染みはいい」(中国に詳しいジャーナリスト)

 イスラム国の占領地域は現在、米露仏英の武器見本市さながらの多彩な攻撃に曝されている。この上、中国にまで“宣戦布告”とは。

「イスラム国は昨年8月から、敵国の筆頭に中国を挙げているのです」

 とは、拓殖大学教授の富坂聰氏。

「今年11月には中国人人質を処刑、挑発が続いています。中国国内には2000万人のイスラム教徒がいますが、狙いは新疆ウイグル自治区の暴発でしょう」

 ウイグル族が住む西域に設けられたこの自治区には、民族比率を大幅に変えるほど漢族が流入。ウイグル族は土地の強制収用や宗教活動の制限といった弾圧を受け、習近平政権成立後は、独立運動もテロと見なされる迫害が続いているという。

 現代イスラム研究センターの宮田律氏も言う。

「イスラム国にはすでにウイグル族の兵士数百人が参加しているといいます。これが自国に戻ってテロ活動を開始したらどうなるか」

 民族弾圧もテロもないのが一番なのだが。

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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