収入が国会議員2位に躍り出た当選2回無名代議士は何者か

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 選挙で勝つためには地盤(支持者)、看板(知名度)、そしてカバン(資金力)が必要だと言われる。先頃、明らかになった国会議員の政治資金収支報告書を見れば、たしかに有力政治家がずらり。が、並み居る面々をおさえてランク入りしているのが穴見陽一代議士(46)だ。

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 2014年分の政治資金収支報告書によると、今回のトップは2億490万円を集めた自民党選対委員長の茂木敏充氏、そのほか上位には麻生財務大臣、安倍総理といった大物が並んでいる。

 ところが、堂々第2位に入ったのが当選2回の穴見陽一氏。失礼ながら、それほど有名ではないのに2億310万円は大した集金力ではないか。地元、大分県の政界関係者が言う。

「穴見さんは、九州一円にチェーン展開するファミレス『ジョイフル』の創業者の御曹司です。同社の大株主でもあり、議員になる前は社長、会長を歴任している。安倍政権が誕生した2012年の総選挙で初当選し、総理と同じ細田派ですから“安倍チルドレン”といって良いでしょう」

 大柄な割には大人しくて人当たりが良いというのが地元評だが、収入の内訳を見ると、大金を集められた理由が分かる。

 たとえば、穴見氏が代表を務める「自民党大分県第一選挙区支部」は、個人の寄付(約9700万円)のうち、7割近くが穴見氏本人や妻(ジョイフル社長)などから。また企業からの寄付(約6700万円)も、大半がジョイフルや、その関連会社。自分の自由になる金を自分に献金しているようなものだ。また、この選挙区支部から、穴見氏が代表のもう一つの政治団体「穴見陽一後援会」に2500万円の寄付が渡っている。なぜ、こんなことをするのだろうか。

■120時間以上の残業

 政治評論家の浅川博忠氏によると、

「可能性として個人献金については節税目的が考えられます。政治献金は税の還付や圧縮ができるからです」

 また、企業は政党支部ならば献金が可能で、そこから個人の資金管理団体に寄付すれば“迂回寄付”が可能になる。さらに、浅川氏はもう一つの理由を挙げる。

「収入ランキングの上位に入ることで名を上げたいと考えているのでしょう。地元ではもちろん、全国でも大きく取り上げられますから。ビジネスで成功した次は“名誉”を欲しがるという点では参院議員になったワタミの渡邉美樹に似ています」

 穴見氏は、一族からの献金については「物心両面から支えていただいている」とし、ジョイフルからの献金も、

「適正・適法に処理しております」

 としているが、なぜか自分の会社が過重労働で問題になっているのも渡邉氏に似ている。

「今年の11月にジョイフルの元店長が長時間労働で倒れ、一時心肺停止になったとして損害賠償の裁判を起こしています。倒れる前の3カ月、月平均で120時間以上の残業をさせられていたというのです。また、3年前にもやはり長時間労働で元店長の女性がジョイフルを訴えている」(社会部記者)

「悪名は無名に勝る」とは政界の先達・渡辺美智雄氏の言葉だったけれど。

「ワイド特集 師走の独走 迷走 大暴走」より

週刊新潮 2015年12月17日号掲載

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