不倫妻が育った家庭環境と“コスプレの逢瀬” [股間枝切り鋏事件]

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 元プロボクサーで慶応大法科大学院生だった小番一騎(こつがいいっき)被告(25)が、国際弁護士の股間を切断した“枝切り鋏事件”は世間の耳目を集めた。さる11月26日に開かれた第2回公判では、小番の妻で弁護士と不倫関係にあった女性(26)を含めた三者の関係が赤裸々に明かされることとなった。

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いざこざは水に流せなかった(現場のトイレ)

 公判で読み上げられた冒頭陳述にて「A」とされたこの女性について、

「彼女の親族にはクリスチャンが多く、それに加えて裕福なファミリーです」

 と解説するのは、彼らをよく知る人物のひとりだ。

「父親はメガバンクの元行員。彼女は3人きょうだいの真ん中で、兄は脳神経外科医、妹は名門私大の大学院生。彼女自身も有名私大卒と、絵に描いたようなエリート一家です。ただ……」

 と続けて、

「彼女は小番と3年ほど前に結婚しました。けれど、当初そのことを家族にも伏せていた。そのあと祖父が亡くなってようやく知らせたという具合で、当然、両家の行き来というものはほとんどない。だから、彼がプロボクサーだったというのも、彼女の親族でさえ知らなかったんです」

 弁護士の卵と共に夢を見ている。実家は頼れない。彼を食わせるのは大変だ。国際弁護士は優しくしてくれる。楽しい。

 弁護士事務所の事務員として働いていたAが、初めて弁護士と関係をもったのは昨年12月29日のこと。

 年が明け、ふたりは逢瀬を重ねるばかりであった。冒陳にはこうある。

〈1月16日夜、品川区内のステーキ店で食事をし、カラオケボックスで、Aが被害者の目前でセーラー服のコスプレ衣装に着替え〉、〈2月5日夜、渋谷区内の鶏鍋料理店で飲食後〉、〈3月11日、渋谷区内の蕎麦屋に行き飲食後、同日午後10時頃〉、いずれもAさんは嫌がる素振りなくラブホテルに入って性交し、〈被害者の陰茎を口淫した〉のだ。

■体操服とブルマ

 誰にも容喙(ようかい)されぬ日々。7月2日には、蛍を見るべく初のアウトドア・デートを敢行し、高尾山へ。いつものごとく嫌がる素振りなく入ったラブホテルで、

〈Aは、同ホテルで貸し出していた有料のコスプレ衣装である体操服とブルマを着用し、カラオケを歌った〉

 しかしながら、ひょんなことで、糸は縺(もつ)れ始める。

 7月27日午後6時半頃、港区内の漫画喫茶でアニメのDVDを鑑賞したおり、

〈被害者がAのことをあだ名で呼ぶと、Aは、「やめましょう」と答え、被害者がAにキスをしたところ、Aは、「やめましょう」、「よくないです」と、初めてキスを拒絶する言葉を被害者に伝えた〉

■「先生のためにがんばれません」

 俵万智さんが選んだ『あなたと読む恋の歌百首』に、

 こころみにお前と呼ばばおどろくかおどろくか否(いな)おどろくか否(岡井隆)

 とあるように、相手との距離と呼び名のバランスは、なかなか難しいのである。

 翌日には謝罪メールを送り合って収拾するかに見えたが、1週間ほど経ってAさんは辞職を申し出る。懸命の引き留めにも、

〈「感情が冷めちゃうと、もう駄目なんです」「先生のためにがんばれません」〉

 それからというもの、Aさんは事務所勤務を続けつつも、言いようのないもどかしさを抱えていた。各人が乗ったボートは揺らぎ、傾き始めていた。事件発生まで1週間を切っていた8月7日夜のことである。

「特集 紳士諸兄が肝を冷やした冒頭陳述 枝切り鋏事件『三角関係』頂点にいた女の役回り」より

週刊新潮 2015年12月10日号掲載

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