政界OBから強烈な辞任勧告! 往時は牛若丸「山口敏夫」が「安倍晋太郎も評価しなかった森喜朗は役職乞食だ!」

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 東京五輪を巡る一連の混乱の元凶は、誰もが組織委員会トップの森喜朗元総理(78)と認めるところだ。それでも当の本人は、世間の批判もどこ吹く風。そこに名乗りを上げたのは山口敏夫元労相(75)だが、かつての「政界の牛若丸」は神経図太いサメを退治できるのか。

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昭和史の偉人と肩を並べるおつもりか

「もはや国民のほとんどが、森君のことなど信頼していないでしょう。彼は2000年4月から1年ほど総理を務めましたが、退陣時の支持率は歴代ワースト2位のわずか9%でした。でも、五輪組織委員会の会長としての支持率は、もはや1%くらいじゃないの」

 東京・永田町のビルの一室で、呆れたように言うのは山口敏夫元労相だ。議員時代は小柄な体躯と政局の節々に活躍する行動力で、「政界の牛若丸」と異名をとった。が、94年にバブル紳士の故・高橋治則氏が主導した「二信組事件」に絡んで逮捕・起訴され、政界引退に追い込まれた。現在はNPO法人「国際環境政策研究所」の特別顧問として、世界の環境問題に取り組んでいるという。

「森君は、長く安倍総理のお父上の晋太郎先生が率いた安倍派の世話になっていました。でも、当時から新内閣の発足や改造の度にポストをおねだりする“役職乞食”として有名でね。晋太郎先生も“森はしょっちゅう役職を欲しがる困った奴だ”とこぼしていました。だから、政治家としての評価はかなり低かった」

 89年に宇野内閣が女性問題で退陣に追い込まれた時、森氏の節操のなさは周囲の耳目を引いたという。

「後継総理を決めるために、各派閥の事務総長クラスがホテルの一室に集まりました。森君は安倍派代表のくせに、密約でもあったのか、なぜか晋太郎先生ではなく竹下派の橋本龍太郎を推しました。が、結局、後継は河本派の海部俊樹さんに決まり、場を仕切った小沢(一郎)さんが私に“一緒に海部さんのところに報告に行ってくれますか?”と聞いてきた。森君はすかさずそこに割って入って来て、“私が行きます! 私が行きます!”と盛んにアピールしたんです。直接、海部さんに役職をねだるチャンスと考えたんでしょう」

 山口氏が議員バッジを外して約20年――。が、今年の夏以降、報道を通して森氏の無責任な対応を見聞きするうちに、過去の森氏の行状を思い出したという。

「世間には辞任を求める声が溢れているのに、彼は一向に辞めようとしません。そこで、安倍総理や舛添都知事、衆参全ての国会議員や都議会議員、東京五輪組織委員会の関係者に向けて、森君に辞任を求めるよう促す檄文を送ることにしました。年齢は森君より3歳下ですが、国会議員としては私の方が1期上。これは、先輩議員としての義務でもあると思っているんです」

■ある種の精神疾患

 12月に入って山口氏が配布したA4用紙12枚からなるこの文書は、「2020年の東京オリンピック・パラリンピックが危ない!」というものだ。

 森氏と言えば、総理在任中に“日本は神の国”など、多くの失言が問題視された。山口氏はある種の精神疾患が原因と疑っているそうで、文書ではそれを組織委員会のトップに相応しくない理由に挙げている。その例として、13年に森氏が出版した『私の履歴書 森喜朗回顧録』を引用している。

 大学進学に際しては、

【早稲田の商学部を受験した。合格点には達していなかったかもしれないが、足らざるところはラグビー部推薦でゲタを履かせてもらったのだろう】

 さらに産経新聞に入社した際は、大物財界人のお墨付きを得たとした上で、

【試験では白紙の答案を出し、最後に「天下の水野社長は前途有為な青年をつぶしてはならない」と書き加えた。(中略)間もなく産経から正式な採用通知が来た】

 いずれもまともな神経の持ち主なら、赤面必至で墓場まで持っていくような恥ずかしい過去。その点について山口氏は文書で、

〈森君は、早稲田大学への裏口入学、産経新聞へのコネ入社など、自慢にならない過去を喋りまくっています。(中略)この自己暴露は、精神病理の“多弁症”に属するもので、空気が読めないのも、発言の影響力への配慮がないのも、心的疾患患者に特有の症状であることは、専門誌でも指摘されています〉

 と、独自の分析を披露している。同時にこの露悪的な告白は、森氏がオリンピックに携わる資格がないことを如実に示しているともいう。オリンピック憲章には、次のような根本原則が定められているからだ。

【(前略)オリンピズムが求めるのは、文化や教育とスポーツを一体にし、努力のうちに見出されるよろこび、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などをもとにした生き方の創造である】

 との部分を引き合いに、

〈「入学」する際とか、社会人として第一歩を踏み出す「就職」の時、「人生の大切な舞台において」、コネやワイロで自分の無能、不努力を棚に上げ「ゲタ」を履かせてもらうような不公正、不正義が、あってはならない〉

〈「森喜朗君の一生」を検証すると、若い頃より今日まで不公正・不正義な生き方が次々と繰り返されてきたことが証明されます〉

 つまり、努力もせず、よい手本ともならない、裏口入学や不正行為で世を渡って来たアンフェアな人物は、オリンピックの精神から大きく逸脱しているというのである。至極もっともな指摘だが、では、森氏はどうして組織委員会の会長の座にしがみつき続けるのか。

〈吉田茂・佐藤榮作・中曽根康弘元総理と同待遇の「大勲位菊花章頸飾」を、天皇陛下から授与されるまでは、死んでも、死に切れない。この身の程知らずの非常識も“暗愚”ならではの真骨頂なのです〉

 と、山口氏は叙勲が理由と説明する。この点については政治部記者も同意見だ。

「永田町には古くから“大勲位を貰えるのは総理の中の総理”という認識があります。総理まで上り詰めた森さんは、今度は最高位の名誉が欲しくなったのでしょう。それ以外に、ここまで叩かれながら辞めない理由は見当もつきません」

 山口氏の辞任勧告に関して森氏に見解を問うと、

「お答えする必要は一切ありません」

 さて、山口氏は今後の展望を次のように語った。

「アベノミクスの3本の矢じゃありませんが、檄文は森君を辞任させるための第1の矢なんです。こちらからケンカを売った以上、最後まで本気でやりますよ」

 ファイティングポーズを取るのだった。

週刊新潮 2015年12月10日号掲載

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