ゴールドvs.プラチナ 投機マネーの動きに注目 臆病な素人投資家が3年後に笑うのはどっちだ?(5)

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 ところで、世界の資産家というものは、どんなポートフォリオを組むのか――。そんな質問を、スイス銀行などの国際金融部門に勤務した経歴を持つ豊島逸夫氏にぶつけたところ、こんな答えが返ってきた。

「8割は不動産や株。残りはゴールドやプラチナなどの貴金属、もしくは原油や穀物といった商品で構成するというのがベーシックです」

 すでに不動産や株には触れたので最後は、

【ゴールドvs.プラチナ】

 を天秤にかけよう。

 現在、ゴールドが1トロイオンス(約31グラム)1080ドルに対して、プラチナは同860ドル。プラチナは2008年に2000ドルを超えたこともあるから、それに比べれば半値以下の水準にあるわけだ。

「プラチナ価格低迷の理由その一は、ユーロ危機による経済の低迷とフォルクスワーゲンのディーゼル車不正事件が重なって売られたこと。プラチナは工業用の用途が多く、ディーゼル車の排ガスを浄化する触媒としても利用されていますからね」(同)

■投機マネーのいたずら

 もう一つの理由は、投機マネーのいたずらだという。

「彼らはいま、プラチナを売り切った状態で、あとは買うしかないんです。歴史的に見て、9割の期間でプラチナがゴールドの価格を上回っている。生産量が少なく希少性の高いプラチナが高くなるのは必然なのです」(同)

 事実、ここ10年でゴールドがプラチナ価格を逆転したのは3回だけ。しかも、その状態が解消するまでに早ければ数週間、長くとも1年だった。

「今回はフォルクスワーゲン問題で多少長引くかもしれないけれど、来年末ごろに“逆ざや”は解消されているはずです。すでに『田中貴金属』でもプラチナが売れ始めましたよ」(同)

 で、こちらはプラチナの完勝。3年後、臆病な投資家に幸あれ。

「特別読物 臆病な素人投資家が3年後に笑うのはどっちだ?――西所正道(ノンフィクションライター)」より

西所正道(にしどころ・まさみち)
1961年奈良県生まれ。著書に『五輪の十字架』『「上海東亜同文書院」風雲録』 『そのツラさは、病気です』、近著に『絵描き 中島潔 地獄絵一〇〇〇日』がある。

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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