「魔裟斗vs. 山本KID」でTBSの心配は教育的配慮のクレーム爆発

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 あれこれと言われながらも、大晦日の視聴率争いは毎年、NHK紅白のひとり勝ち。裏番組をぶつける民放は討死が続いているが、今年はTBSがタレントに転じた魔裟斗(まさと)(36)を一夜限定で復帰させ、山本“KID”徳郁(のりふみ)(38)と対戦させる「目玉企画」をぶち上げた。が、すでにトラブルの種は“露わ”になっていて……。

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 スポーツ紙の格闘技担当記者が言う。

「両者の対戦は2004年の大晦日、大阪ドームでの『K―1 PREMIUM Dynamite!!』に遡ります。互いにダウンを奪い合う激闘の末、最後は魔裟斗が判定勝ちを収め、瞬間最高視聴率も31・6%をマークしたのです」

 今回、11年ぶりに“伝説の一戦”復活を目指すわけだ。

「バラエティ特番などで大晦日にコケ続けているフジが、10年ぶりに格闘技中継を行うことも拍車をかけました。桜庭和志やヒョードルといったPRIDEのスターが再集結した『RIZIN (ライジン)』というイベントで、これに対抗すべくTBSは、ボクシング世界王者の井岡一翔の防衛戦中継と合わせ、
特番を『KYOKUGEN 2015』と銘打ち、09年に引退した魔裟斗を引っ張り出してきたのです」(同)

 格闘技番組が乱立していた、かつての年の瀬を彷彿とさせる編成なのだが、

「実は“隠しようのない問題”が、立ちはだかっているのです」

 とは、さるTBS関係者である。それは、

「KIDの体の至る所に彫られている刺青です。以前は、サポーターなどで何とか隠せる規模でしたが、その後広がるばかりで、今や完全にファッションタトゥーの域を超えている。それが試合で晒されるため、『CSならばまだしも、地上波のゴールデンでお茶の間に流すのはいかがなものか』との声が上がっているのです」

 コンプライアンスが声高に叫ばれる折、競技とはいえアウトローそのものの風貌で殴る蹴るを繰り返す男が映し出されれば、視聴者の反発も想像に難くない。

■「乱暴な手法」

 別の民放幹部が明かす。

「格闘技番組は、2時間特番ドラマに比べてはるかに安上がりです。今回も、2人のギャラを含めてトータルの制作費はせいぜい3000万円といったところ。そうしたメリットが、是が非でも数字を取りたい思惑と重なって最終的にゴーサインが出たのでしょう」

 当のTBSは、

「個々の番組制作過程に関してはお答え致しておりません」(宣伝部)

 と言い、KIDに代わって父親の元レスリング五輪代表・山本郁榮氏いわく、

「刺青というより、息子のはタトゥーでしょうね。アマ時代から入れていて、亡くなった母親の思い出を込めていると話していました。米国ではごく一般的ですし、TBSからも何か言われたことはありません」

 が、上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、こう指摘するのだ。

「刺青を入れること自体はKID選手の勝手ですが、大人だけでなく子供も夜遅くまでテレビを見る大晦日に“11年前の夢をもう一度”という思いを優先し、ビジュアル的に大きく変貌した選手を登場させようというのならば、テレビ局としてあまりに乱暴な手法だと言わざるを得ません」

 教育的配慮の対極に位置しそうな予感。またそもそも、

「民放は、いまだ紅白と勝負できる番組を打ち出せていない。紅白自体が飽きられて久しいというのに、そこへ今さら格闘技特番とは、作り手のクリエイティビティが不足しています」(同)

 お茶を濁した挙げ句、画面まで汚すというわけだ。

「ワイド特集 ふとどき者ほどよく眠る」より

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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