勝利でも苦すぎた「村田諒太」米国デビュー

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 大本営発表は「成功」だが、実態は「大失敗」だった――。

 ロンドン五輪金メダリストにしてWBCミドル級5位、村田諒太(29)の“アメリカデビュー”のことだ。

 11月7日、場所はラスベガスのトーマス&マックセンター。歴史的な名勝負に彩られた夢舞台である。

「お膳立ては、村田の後ろ盾である超大物プロモーター、ボブ・アラムです」

 とボクシングに詳しいライターが語る。

「メインイベントは、かのメイウェザーとの対戦歴もあるWBOウエルター級王者ブラッドリーに、人気急上昇のリオスが挑む全米注目の一戦。村田はその前座で、お披露目としては最高の舞台が用意されました」

 相手は、ガナー・ジャクソンなる元世界ランカー。

「パンチを出さずに守り抜くタイプ。ボクシングでは、いかに弱くても“ラッキーパンチでKO”なんてハプニングがありますが、この相手とならその心配もない。過去31戦でKO負けゼロというこの男を、村田が見事にKOして鮮烈なデビューを果たす、という筋書きだったのですが……」

 実戦は、KOどころかダウンすら奪えず。判定は3−0で村田の圧勝とはいえ、

「スピード、パワー、テクニック、全てが凡庸で、村田を初めて見たアメリカの記者やファンは、“この程度か”と肩透かしを食らったはずです」

 ところが、翌朝の日本のスポーツ紙では、

〈米国デビュー戦としては100点の試合〉(大橋秀行・日本プロボクシング協会会長/日刊スポーツ)

〈世界へ向けたスタートとしては上々〉(浜田剛史・帝拳ジム代表/スポニチ)

 と賛辞が並んだ。

「試合後の村田は、敗者のようにガックリと肩を落とし、“情けない。不甲斐ない”とこぼしたそうです。プロモーターに遠慮して、誰も水を差す発言はしませんが、村田本人は“失敗”を自覚しているようです」

 8戦8勝1ガックリ。

週刊新潮 2015年11月19号掲載

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