代々木の「東京都委員会ビル」を8億円で売却していた「共産党」

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 光が眩(まばゆ)いほど、その影は濃いという――。野党共闘だ、「国民連合政府」樹立だと、ここのところ共産党が勇ましい。だが、華々しい「打ち上げ花火」の傍(かたわ)らで、同党は8億円とも言われる代々木の不動産を売却していた。

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背に腹は代えられず?

 赤坂、青山、緑山、東京に点在する色のついた地名。無論、赤坂の街が赤く塗られているわけではなく、青山もコンクリートやアスファルトで覆われ、青いという印象は受けない。

 しかし、「そこ」だけは地名に色がついていないにも拘(かかわ)らず、ある色に染まっているように感じられる。すぐ近くには緑に包まれた明治神宮が広がっているが、歩く人の脳裏には「赤」が深く刻まれる不思議な土地――。代々木、言わずと知れた共産党村である。

 JR代々木駅周辺には、2005年に新築された地上11階、地下2階建ての共産党中央委員会ビルをはじめ、同党と関係の深い施設が立ち並ぶ。その中のひとつが、駅から徒歩30秒の場所に聳(そび)え立つ共産党東京都委員会ビルだ。地上9階、地下1階、80坪近い敷地に鎮座するその建物は、中央委員会ビルとともに共産党村の象徴とされてきた。

 同党は、中央委員会にぶら下がる形で各都道府県委員会が置かれ、他党で言うところの都連や県連の役割を果たしている。都委員会も、形式上はその「ワンオブゼム」に過ぎないが、実情は些(いささ)か異なる。

■“共産党のドン”のお膝元

 共産党の元ナンバー4で、政策委員長を務めた筆坂秀世元参院議員が解説する。

「東京、京都、大阪の委員会は他よりも格上で、他の委員会の委員長が概(おおむ)ね中央委員レベルであるのに比べ、この3つの委員長はその上のレベルの幹部会委員や常任幹部会委員が就く。なかでも都委員会は別格です。中央委員会の近くにあることに加え、なによりも、共産党のドンにして前中央委員会議長の不破哲三氏の出生の地であり、言わば彼のお膝元ですからね」

 路上キスで一躍スターダムを駆け上がった吉良佳子参院議員などが輩出し、「筆頭委員会」とでも言うべきその都委員会が、最近、共産党関係者の間で話題になっているのだという。なぜなら、共産党が所有していた同委員会の土地と建物が今年の4月、民間会社に売却されたからである。

■「坪800万円から1000万円」

 代々木を共産党村たらしめている不動産のひとつが人手に渡ったと聞けば、確かにそこに「異変」を感じ取らないわけにはいくまい。実際、筆坂氏は、

「都道府県委員会の土地や建物が売られたという話は聞いたことがありません」

 また、共産党関係者曰く、

「都委員会の不動産を売り飛ばすなんて、よほど金に困っているんでしょう」

 地元の不動産屋に訊(き)くと、

「建物は築37年でほぼ価値がない一方、都心の駅前の超一等地ですから、土地は坪800万円から1000万円の値でもおかしくない。売却額は7、8億円くらいではないでしょうか」

 他の野党が内紛に明け暮れるなか、ここ数年、「棚ボタ」式に議席を伸ばしてきた共産党。しかし、表面上の党勢の拡大とは裏腹に、「掌中の珠」とでも言うべき代々木の土地を手放すとは、いかなる事情があるのだろうか――。

「特集 党勢拡大『国民連合政府』構想の花火の陰で 『共産党』が代々木の8億円不動産を売却していた」

週刊新潮 2015年11月19日号掲載

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