“大統領の上に”馬脚を現した「スー・チー」

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 あくなき権力志向というべきか――11月8日投票のミャンマー総選挙を前にした、野党NLD(国民民主連盟)の指導者アウン・サン・スー・チー女史の発言が、物議を醸している。5日、女史は記者会見で、選挙でNLDが勝利したら、〈大統領の上の地位に就いて国政を主導する〉と述べたのだ。

「外国人の配偶者、外国籍の子供を持つ場合は大統領になれない、という規定について質問があった際、彼女は“憲法には、大統領の上に立つポストを作ってはいけない、という規定はない”という滑稽な理屈を持ち出したのです」(ミャンマー在住ジャーナリスト)

 長きに亘る軟禁、民主化のヒロイン、ノーベル平和賞受賞者……対外的には、こんなイメージが先行する女史だが、一方で“独善的、独裁的”そして“経済音痴”と批判もある中、ついに馬脚を現した格好だ。

「現在のテイン・セイン政権は開発に取り組み、一定の成果を上げています。ところがスー・チー女史は、ミャンマーではビジネスのやり方を変えるよう外国企業に提案したり、開発計画に横やりを入れて潰したりと、経済音痴ぶりを露呈している。内外のビジネス界には“現政権のままがいい”という声さえあるほどです」(同)

 正式な選挙結果はまだ先だが、スー・チー女史は早々に勝利を宣言。

「女史のカリスマ性や、そのリーダーシップヘの期待が、NLD大勝の要因と見られるでしょうが、一般の民意は“与党USDP(連邦団結発展党)でなければいい”という消極的なもの。日本で民主党が政権を獲得した時の雰囲気に似ています」(同)

 人は民主化のみにて生きるものにあらず。

週刊新潮 2015年11月19日号掲載

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