日本企業は安堵 トルコ“やり直し”選挙のウラ

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 トルコで2002年から単独で政権を担い続けてきた公正発展党(AKP)。今年6月の総選挙で初めて議席の過半数を割る。連立協議は決裂し、11月1日にやり直し総選挙が行われた。

「10月10日に首都アンカラで100人以上が亡くなるトルコ史上最悪の爆弾テロが起きた。当局はISによる犯行と発表。国民から治安対策が手ぬるいと非難され、AKPは苦戦必至と予想されていた」(外信部記者)

 ところが、550議席のうち317議席を獲得する圧勝。6月の258議席から、59議席も増やしたのだ。

「AKPの単独政権による強い政府だけが安定をもたらすことができると有権者の不安に訴えかけた」(同)

 AKPの力の源は、2003年から首相を3期務め、昨年、直接選挙で大統領に選ばれたエルドアン氏(61)。年平均5%の経済成長を実現、国民1人当たりのGDPは10年で3倍以上に成長。だが、シリアの内戦が影を落とし、経済成長は鈍化する。

「強権的になり、6月の総選挙で議院内閣制から大統領制への移行を狙い憲法改正を訴え、国民は反発した」(同)

 エルドアン氏は親日家。10月8日に東京で開かれたセミナーで投資を呼びかけ、自ら熱弁を奮った。

「再び権限拡大を目指すのか予断を許しませんが、日本企業にはひとまず安心の選挙結果。駐在員は治安に一番敏感なのです。トルコはお酒が自由に飲めるし暮らしやすい」(経済部記者)

 トルコには100社以上の日本企業が進出している。トヨタは94年、ホンダは97年から自動車を生産、三菱東京UFJ銀行の現地法人があるなど重要な拠点。世紀のプロジェクトと呼ばれたボスポラス海峡横断地下鉄の海底トンネル工事を担当したのは大成建設である。

 トルコ経済の復調に日本も一役買うことができるか。

週刊新潮 2015年11月12日号掲載

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