人は120歳まで生きられるから還暦「ドクター南雲」3つの忠告

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南雲吉則・ナグモクリニック総院長

 60歳は、本来の寿命の折り返し地点にすぎない。南雲吉則・ナグモクリニック総院長の近著『大還暦』(大和書房)によると、人は120歳まで生きられるように出来ているという。だが、今の生活習慣では到底無理。還暦の2倍生きるために、南雲氏から3つの忠告。

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 今年の8月1日、ちょうど60歳を迎えることになりましたが、いま、私ほど年を取ることを楽しみにしている人はいないのではないか。そう思うぐらい日々、健康で充実した生活を送っています。

 医学者として自分の体を実験台にしながら、「還暦を超えても健やかに、美しく年を重ねていくためにはどうすべきか」という疑問に答えを出すため、さらにパワフルに仕事をしなければいけません。

 そして、同じく60代を迎える皆さんにも「還暦は長い人生の折り返し地点にすぎない」ということを知ってもらいたいのです。

 本題に入る前に、還暦が肉体的にどんな時期なのか確認しておきましょう。

 第一に60歳は様々な病気にかかりやすくなる時期です。「病」は、感染症を除けば、人生の積み重ねの末に現れてくるもの。たとえば、喫煙が肺がんという形で表れるには約30年かかるといわれています。また、肥満が動脈硬化につながり、心筋梗塞や脳卒中を発症するまでには平均して20~30年。つまり、これまで不摂生を続けてきた人にとっては、最も気をつけなければならない年齢でもあるのです。

 私自身、これから先、体の状態が右肩上がりになることはないと実感しています。体に無理をさせてしまうと影響が明確に表れるようになりました。体の機能は、思春期をピークとしてどんどん老化するのですから当然です。

 しかし、還暦だからと言って人生の「終着地点が近い」と考えるのは間違いです。何より、近年の医学的な研究成果によれば、人間の寿命は、理論上120歳まで延びるとされている。60歳は、人間という生物にとって命の折り返し地点にすぎないことが明らかになってきたのです。

 ではなぜ、人は120歳まで生きられるのか。根拠がいくつかありますが、臓器の寿命から考えてみましょう。例えば、心臓は生涯で30億回拍動するように作られています。1分間の心拍数を約50回として計算すると、1年間では約2500万回。よって30億回は約120年となる。

 脳についてはどうか。我々の脳細胞は約140億個あるうち、毎日10万個が死滅しているとされています。単純計算ですが、120歳までに44億個壊れる計算になる。大変な数ですが、120年生きたとしても壊れるのは3分の1とも言える。人の脳は普段3%程度しか使われておらず、残りの100億個の脳細胞が残っていれば実生活には困りません。

 そして、何より「寿命=120歳説」を裏付けているのが「テロメア」に関する近年の研究です。テロメアは2009年のノーベル医学・生理学賞を受賞したエリザベス・ブラックバーン教授らの研究で注目を集めましたが、細胞の染色体の端にある組織のことです。細胞分裂を行うごとに減り、分裂の回数を決めている。いわば、命の導火線のようなものです。

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