ラグビー人脈でフィクサー気取り! 「森喜朗」元総理の老害

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 トカゲの尻尾を切っても、似たような尻尾が生えるだけ――。新国立競技場計画を進めた日本スポーツ振興センター(JSC)。森喜朗元総理(78)の子飼いの理事長が事実上、引責辞任したが、新しい理事長も森氏直系。政界を退いても相変わらずフィクサー気取りの森氏だが、なすべきは、ご自身が即刻退くことである。

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フィクサー気取りの森氏

 なにしろ、“ザハ案”が白紙撤回になった責任を問われて、事実上、詰め腹を切らされたJSC前理事長、河野一郎氏(68)は、

「もともと筑波大のスポーツ医学の教授で、五輪の日本選手団のチームドクターを務めたほか、自身も東京医科歯科大ラグビー部出身。ラグビーの医学的サポートにも尽力してきた」(五輪組織委員会関係者)

 という絵に描いたような森氏の子飼い。後任の大東和美氏(66)も、昨年2月までJリーグのチェアマンだったから見逃されがちだが、やっぱりラグビー人脈なのである。

「早大ラグビー部では主将を務め、住友金属工業に入社後はサラリーマンとしても大活躍。九州支社長などを歴任したのち鹿島アントラーズに入り、社長としてJリーグ初の3連覇を経営面から支え、10年、Jリーグのトップに就きました」

 と、大手紙のサッカー担当記者。もしや、そんなに手腕があるなら、森氏の影響を受けにくいだろうか。

「大東さんはひたすら体育会系で、大先輩である森さんには頭が上がらないどころか、何かを頼まれれば絶対に断れないタイプ。操られる危険性があります」

 政治ジャーナリストの山村明義氏によれば、

「見かけによらず臆病で、自分の周りに息のかかった人を置きたがる」

 という森氏。組織委員会会長として、競技場とエンブレム、2つの問題に最も責任を負う立場であっても、これまでの姿勢を変えるつもりはないようなのだ。

■ラグビーW杯を観戦

 さて森氏、五輪をめぐるこのゴタゴタの最中に何をしているのか。

「9月19日の南アフリカ戦、23日のスコットランド戦では、観戦している姿を見かけました。とりわけ23日は、一般席の下のほうの貴賓席に座り、イギリスのアン王女らと肩を並べ、誇らしげな表情で試合を眺めていました」

 と、ラグビーW杯の開催国イギリスに滞在中のジャーナリスト。だが、19日といえば、かつて自民党清和会をともに支えた塩川正十郎氏が亡くなった日で、23日は通夜の当日、告別式の前日である。盟友の“命”が失われても、“ラグビー命”であるらしい。

 ご本人は、大東氏を古くからよく知っていることや、塩川氏の葬儀を欠席したことを認めたうえで、

「国民のみなさまの信頼と理解を得ながら、大会を成功に導くことが、私の果たすべき責任と考える」

 と回答するが、なぜそれほど厚顔でいられるのか。

「資金を集める能力に長けているからだそうですが」

 と、スポーツ評論家の玉木正之氏が言う。

「資金調達なら裏方として支えても十分にできるはず。今、テレビが彼を批判しないのは、五輪の各競技の放映権をどこにするか、組織委員会に決定権があるからでしょう。しかし、2つも大問題が起きても、いまだに居座り続けるのは本当に恥ずかしい。一刻も早くお辞めになってほしいです」

 若い活力で魅せる五輪に、老害は最もふさわしくない。

「ワイド特集 ふとどき者と人のいう」より

週刊新潮 2015年10月15日神無月増大号掲載

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