今は一介の信者に格が下がって「幸福実現党」初代党首が胸に秘める野望

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「獅子身中の虫」とは、仏徒でありながら教えに害をなす者を指す仏教用語だという。であれば“仏陀の再来”と称する総裁を頂く教団にとって、彼もその類か。一介の信者に成り下がった幸福実現党の初代党首が、目下、不穏かつ無謀な野望を抱いているというのだ。

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幸福実現党の初代党首だった饗庭氏

 同党の母体は、言うまでもなく宗教法人「幸福の科学」。2009年の総選挙を前に大川隆法総裁が政界進出を宣言、337人を擁立したものの当選ゼロに終わり、約11億円の供託金が没収された。そんな組織の初代トップだったのが、饗庭直道(あえばじきどう)氏(48)である。

 会見で、「日本のバラク・オバマになってかじ取りをしたい」と大言壮語しながら、結党からわずか10日余りで辞任、総裁夫人だったきょう子氏に交代する羽目に。当時大川総裁は、選挙ポスターに相応しい「顔」で饗庭氏を選んだとしつつ、以下のように酷評していた。

〈並んだ政党幹部の顔ぶれを見渡すと、彼が教団内の役職で最も格下だった。(略)その点、家内は教団内の知名度も100%だし、記者会見の対応や質疑応答の能力も高かった。(略)饗庭君から家内に交代しただけで、当選者はたぶん三倍以上になりますよ〉(「文藝春秋」09年8月号)

 何倍してもゼロはゼロ。「守護霊が生意気なことを言った」などといった理由で総裁の不興を買った饗庭氏は、翌年に北米本部へと異動。そして12年、なぜか「米国共和党の顧問に就任」との触れ込みで、久々にメディアに登場したのだった。

■「国政に出たい」

「日本のオバマ」を目指すはずが共和党とは、どこでねじれたのか知る由もないが、最近では、

「党役員を辞めて還俗し、一介の信者としてあらためて政界進出を狙っています」

 とは、さる教団関係者である。何でも、共和党の支持母体である草の根組織・ACU(全米保守連合)の「パートナー」として、2月にJCUなる一般社団法人を立ち上げたそうで、

「彼は、『共和党顧問の肩書と教団の集票力をアピールして、自民党の有力議員の秘書か派閥の事務局に入り込む。それから公認を貰って国政に出たい』と話している。教団の現状にも不満を漏らしていて、『自民の公認が取れたら、それを武器にして教団2代目の“後見人”の地位を得る。今は自分のシンパを集めている』などと熱く語っています」

 現在、東京MXテレビの情報番組に「政治評論家」として出演中の本人に聞くと、

「今年の4月末で党役員を辞めました。いまは一般の末端信者で、JCUを通じて国内の保守運動を団結させたいと考えています。私は元来、自由人なので、教団復帰は考えていません。国政選挙に出る噂があるとは初耳で、驚いています」

 そう煙に巻くのだが、

「もともと目立ちたがりで上昇志向が強く、毀誉褒貶のある人物だった。現役職員の間からは、『還俗したのなら、教団から授かった直道の法名を返すべきだ』と批判の声が上がっています」(教団ウォッチャー)

“乗っ取り”を画策されている幸福の科学は、

「饗庭氏のさらなる活躍を期待しております」(広報局)

 と、素っ気ない。いっそお得意の守護霊を呼び出し、白黒つけてみてはどうか。

「ワイド特集 復活の日」より

週刊新潮 2015年9月17日号掲載

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