【大赤字】マクドナルド本社に流れる“非売品”応援歌

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 高度経済成長の時代、企業の朝礼では社歌が流れて士気高揚が図られたものだ。

 そんな時代を彷彿とさせる光景が、渦中にある日本マクドナルドホールディングス(東京・新宿)で見られるという。

「退勤時刻の午後6時になると決まって、本社のフロア全体に歌手のMay J.とクリス・ハートがデュエットで歌うマックのオリジナルソングが流れるようになったんです。会社からはカサノバCEOのプレゼントとの説明でしたけどね」

 と話すのは、日本マクドナルドに勤める社員だ。

 カサノバCEOといえば8月12日に、2015年6月中間連結決算が、上場以来最悪の262億円に上る大赤字であることを会見で発表したばかり。食の安全を巡る問題で客足が遠のき、全国規模の店舗閉鎖も相次いだことが響いた格好だ。

 店頭ではお馴染み“スマイル0円”のメニュー表示を復活させて、ヘルシーな新商品を導入するなどテコ入れに躍起だが、社員にもサプライズのおつもりか。

「もともと、米国のマクドナルドにはクルーの一体感を高める応援歌がありました。日本法人にはそれがなかったため、カサノバCEOの発案で原曲を和訳した『笑顔をつなごう』を製作。このような状況の中でも従業員が感謝の気持ちを忘れず最高の笑顔になってもらおうと、5月末から社内で流し始めました。あくまで社内限定の非売品でございますので、今後もCD化などの予定はございません」(日本マクドナルドホールディングスPR部)

 が、先の社員はため息交じりにこうも言う。

「曲のサビで、〈スマイル、スマイル〉と明るい声のハーモニーが繰り返し流れるけど、仕事終わりに毎日聞くと、どうも空々しい気持ちになっちゃうんですよ……」

 まだまだ“笑顔”には程遠い状況のようで――。

週刊新潮 2015年8月27号掲載

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