心筋虚血だけではない「美智子皇后」筆談の日もある満身創痍

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 天皇陛下が心臓バイパス手術を受けられたのは、3年前のこと。幸い、無事ご公務にも復帰されたわけだが、今度は、美智子さまが胸の痛みを訴えられ、検査の結果、“心筋虚血”が疑われている。しかも、美智子さまの健康不安はそれだけにとどまらず、筆談しかできない日もあるほど満身創痍なのである。

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 何の前触れも、事前の噂もなく、その発表は突然のことだった。

 宮内庁詰め記者によれば、

「7月29日、皇后陛下に関する発表が医務主管からあるとアナウンスされ、記者クラブは一時騒然となりました。午後2時から始まった記者会見で、皇后陛下は6月末から胸の痛みを感じられるようになり、最初は1週間に数回程度だったものの、だんだんと一日に何回という頻度に増えていったと明らかにされたのです」

 その5日前の24日、24時間心電図の検査を受けられ、心臓の筋肉に血液が十分に行き渡らない“心筋虚血”の疑いがあるとの所見を得られたという。

「そのため、あらためて皇后陛下は8月9日に、東大附属病院で冠動脈のCT検査に臨まれることになりました。その日は、ご公務がなく、日曜日で病院に患者が少ないということで選ばれた。ひとまず、緊急性はないので、切迫した状況にはなっていません」(同)

■体力の衰え

 ならば、専門医はどう見ているか。日本大学病院の折目由紀彦・心臓血管外科科長が解説する。

「心筋虚血には機能性と器質性の2種類がある。機能性は、ストレスなどによる神経的な作用で冠動脈に一時的な攣縮(れんしゅく)が起こり、心臓に血液が流れにくくなる。治療は、冠動脈をひろげるニトログリセリンや血液の流れを良くする抗凝固剤などの投薬で行います」

 一方、器質性は、コレステロールの沈着によって冠動脈そのものが細くなってしまった状態。そのケースでは、主に2つの対処法があるという。

「1つは、血管にカテーテルを挿入し、バルーンやステントという医療器具で狭窄部分を広げる治療です。それが不可能な場合、天皇陛下も受けられた心臓バイパス手術となる。別の場所から切除した動脈を狭窄部分の先に接合し、迂回路をつくるというもの。いずれにしても、冠動脈のCT検査の結果を待たないと、治療法の判断はできない。ただ、心臓バイパス手術ということになっても、わが国における成功率は99%ですから、必ずしも心配する必要はないのですが……」(同)

 しかし、今年81歳になられる美智子さまが抱えるご不調は、なにも“心筋虚血”ばかりではない。

「10年前から、皇后陛下は頸椎症性神経根症を患われ、左肩から左腕にかけての痛みに悩まれています」

 と、宮内庁関係者が明かす。

「昨春には、その痛みのために人形浄瑠璃文楽の鑑賞を取り止められました。当然のことながら、体力の衰えも避けられず、最近ではお声がうまく出せないこともあります。そういうとき、皇后陛下は、“聞き取りづらいかもしれませんが、心配なさらないでください”と、逆に相手を気遣われる。本当にお声を出すのが辛いときは、筆談をされています。それでも、ご自身の体調の不安は表に出さず、びっしりと詰まったご公務を務めておられるのです」

 治療の第一が負担軽減であることに疑問の余地はない。問題の所在がわかっていても対処できないところに悩み深い皇室の姿があるのだ。

「ワイド特集 女たちは荒野をめざす」より

週刊新潮 2015年8月13・20日夏季特大号掲載

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