どこまでも続くぬかるみ無安打! 「イチロー」が引退できない

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 うんざりするような梅雨空が続く日本だが、海を越えた向こうでは、この人のバットも湿りっぱなし……。マーリンズのイチローが、連続無安打の自己記録を更新した。既に齢(よわい)41。早くも来季の処遇が気になってきた。

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「足がパンパンに腫れてるよ。アチコチが痛い。今は身体を休めるのが第一なんだけどなぁ……」

 6月半ば、イチローは親しい知人にそう弱音を吐いていたという。

 今季、開幕から2カ月経っても3割近い打率を維持していたイチロー。しかし、この言葉通り、6月も後半に入ると失速した。19日から安打がぱたっと止まり、月が変わって7月2日には、自己ワーストの25打席連続無安打を更新。その後、不名誉な“記録”は30打席まで伸び、絶不調のぬかるみから抜け出せない毎日が続いているのだ。

「さすがのイチローも寄る年波には勝てないということでしょう」

 と解説するのは、大リーグ評論家の友成那智氏。

「特に走力の低下が著しい。全盛期のイチローは一塁までの到達時間が3・7~3・8秒でしたが、今は4・1~4・2秒ほど。だから、盗塁の成功率もメジャーリーグの平均さえ下回っているのです。それは守備にも影響している。守備で防いだ点数と与えてしまった点数の差を表す『DRS』という数値があるのですが、全盛期のイチローはプラス30点。しかし、一昨年は9点、昨年は1点で、今年はこれまでマイナス5点を記録しているのです」

■広告とスポンサー

 となれば、ただでさえ高齢で高年俸のイチローである。用済みとなり、来季の「クビ」を宣告される可能性だって十分にある。そうそう受け入れる球団があるとも思えないから「引退」の二文字がチラつくが、

「簡単にそうもいかない“事情”があります」

 と言うのは、全国紙の運動部デスクである。

「イチローの所属するマイアミ・マーリンズは有名な不人気球団。試合を中継しても視聴するのはせいぜい6万人程度ですが、イチローが出れば日本でも放映され、100万人単位で視聴者が増えます。そうなれば、広告もスポンサーも集めやすいのです」

 また、イチローはメジャーリーグ通算3000本安打まであと110安打強に迫っている。

「こうした記録に恵まれてこなかった球団としては『3000本達成』は是非行いたいイベント。彼の興行的な価値を無視はできないでしよう」(同)

 加えて、仮にメジャーを出されたとしても、強烈なラブコールがあるのだ。

「古巣のオリックスです。宮内義彦オーナーが『選手兼任監督』での日本復帰を熱望しています。イチローにとってオリックスは育ての親で、今でも毎年オフには、球団の施設で自主トレを行い、オーナーと会食する関係。こうした願いを無下には断れないでしょう」(同)

 イチローのマネージメント会社に来季の展望を尋ねても回答はなかったが、引き際こそ「男の美学」。「孤高の男」には、どうか自らの手で“その時”を決めてもらいたいものである。

「ワイド特集 天地の狭間のドタバタ劇」より

週刊新潮 2015年7月16日号 掲載

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