谷垣幹事長が処分したお調子者「三バカ大将」脛の傷――うぬぼれ「自民党」の構造欠陥

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 竹下登元総理は、生前こう言っていた。「権力者は7割の批判に甘んじなければならない」と。「文化芸術懇話会」での発言を受け、谷垣禎一幹事長に処分された「三バカ大将」は、いずれも当選2回の若手議員である。彼らは、竹下氏のこの名言を知っているのだろうか。

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 谷垣幹事長は、温厚な人柄で知られる。だが、問題発言をした3人の処分を発表した6月27日は、怒り心頭であった。政治部デスクによれば、

「懇話会は、安倍総理に近い若手で作る勉強会。彼らがマスコミを威圧する発言をしたとあっては、安保法制の審議に影響が出ることは確実です。そこで谷垣さんは幕引きを図った」

 その結果、懇話会代表の木原稔・党青年局長を更迭、1年間の役職停止。問題発言をした大西英男代議士(68)=東京16区=、井上貴博代議士(53)=福岡1区=、長尾敬代議士(52)=近畿比例=は、厳重注意とした。木原氏は、責任者として処分されたに過ぎない。問題は調子に乗って発言した3人である。

 大西議員は、深谷隆司元通産相の秘書を経て、区議や都議を長く務めた叩き上げだ。深谷氏が振り返る。

「彼は秘書時代から豪放磊落で愉快な人でしたよ。何より、口が達者で演説も上手い。人を惹きつける魅力はある。でも、弁が立つことからヤジも多くてね。昨年4月、上西小百合さんに『まず自分が子どもを産まないとダメだ』とヤジり、問題になったでしょ。あの時、彼から謝罪の電話がありました。私は『二度と起こすな』と注意したのに、またやるとはね。勉強会の冒頭の映像が流れた際、彼の顔がチラッと見えた。その時、“何かしでかさなきゃいいが”と思ったんです。悪い予感が当たってしまった」

 彼とは対照的に、井上議員は「博多のボンボン」だという。後援者の話。

「井上家は、お祖父さんの代から県会議員を務めてきた名門中の名門です。タクシー会社を経営し、長者番付にもよく登場しとった。やけんまあ、金に困るっていうことはないでしょう。自宅も中洲のど真ん中にあって、貴博は若い頃から、クラブとか、よう飲み歩いとったよ。性格は比較的おとなしいね。ただ、山笠の男やけん、祭りが大好き。今回も、その場で雰囲気が盛り上がり、自分も勢いに乗らないかんっていう風に思って、つい言っちゃったんじゃないでしょうか」

「沖縄の世論は歪み、左翼勢力に乗っ取られている」。そう語ったのは長尾議員である。幾ら何でも国会議員の言うことではなかろう。

「とにかく彼は、愛国心の強い人でね。具体的な政策は殆ど聞いたことがありません。精神論ばかりでした」

 と、大阪の民主党関係者。

「元々は民主党で、3回目の選挙(2009年)で初当選を果たした。すると、当時野党だった自民党の安倍さんや城内実といった“右寄り”の人と急接近してね。12年の総選挙直前に民主党を離党し、無所属で立候補した。すると、選挙期間中、安倍さんが応援演説に来て、長尾さんを自民党の公認にすると発表したのです。許しがたい裏切り者ですよ」

 先の深谷氏は呆れて言う。

「今は言いたいことをぐっと抑え政権を支える時です。彼らは自重という言葉を知らず、安倍さんに媚びる形で無分別に過激な発言をした。軽薄の一語に尽きます」

 三バカには、竹下氏の名言など理解不能なのだ。

「特集 うぬぼれ『自民党』の構造欠陥」より

週刊新潮 2015年7月9日号掲載

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