陰りが見える「AKB48」総選挙を裏で支えた「チャイナ・マネー」

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 遂にと言うか、やはりと言うべきか――。日本を襲った中国人の「爆買い」は、エンタメの世界にも広がっていた。6月6日に福岡で行われた「AKB48」の総選挙では、昨年2位に甘んじた指原莉乃(22)が首位に返り咲いた。が、会場では彼女をトップに押し上げたチャイナ・マネーに注目が集まっていたという。

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 国民的アイドルグループも、今年で結成10周年。節目の年を迎えたが、担当記者の間では人気の陰りを指摘する声が相次いでいる。

「顔を合わせれば“AKBビジネスもそろそろ終わりだろう”とか、“いつまでも続かないよね”といった後ろ向きの話ばかり。実際、コンサート会場も以前に比べて空席が目立ちますし、握手会でも行列は短くなっている印象です。取材陣も、全盛期だった2011年から12年頃には200人を超えていましたが、今では4分の1の50~60人程度です」(スポーツ紙記者)

 ここで簡単に説明しておくと、AKB48の総選挙とは、次に発売されるシングル曲を歌うメンバーをファンが投票で選ぶイベントのこと。今回は7回目で、得票総数は過去最高の前回より60万票も多い328万7736票だった。この数字からはAKB人気がさらに勢いを増しているように見えるが、裏には巨額のチャイナ・マネーが絡んだカラクリがある。

■“中華砲”

「投票券を入手するにはファンクラブに加入するなど幾つか方法がありますが、中国のファンにとって最も簡単なのが投票券付きのCDを購入することです。彼らはアマゾンやタオバオという通販サイトで数千枚という単位で“爆買い”して大量の投票券を手に入れ、それをお気に入りのメンバーに投票しているのです」(同)

 他にも、ネットなどで売りに出された投票券そのものを購入するケースもあるので彼らが手にする1票の単価には諸説ある。が、およそ900円が“相場”と見られているという。

「金にモノを言わせて買い集めた大量の投票券は、選挙の趨勢を決定付けるほどの影響力を持ちます。関係者は“中華砲”と呼んで恐れていますよ」(同)

 今回、1位となった指原は自身のファンの2割が中国人であると明らかにした。彼女の得票数は19万4049票だから、単純計算で3万8809票、金額で3492万8100円分もの中華砲が撃ち込まれたことになる。

 もはや総選挙と言うより単なるマネーゲームである。では、アイドルのイベントに巨額の資金を費やすのはどんな人々なのか。

 中国人ジャーナリストの鳴霞氏が解説する。

「20代や30代でこういう遊びに大金を費やせるのは、中国共産党幹部や、彼らと結託して荒稼ぎをしている富豪らの子弟たちです。親が不正に蓄財した国の財産を、ドラ息子たちが海外で浪費しているのです」

 さらに、中国に詳しいジャーナリストの福島香織氏が後を引き取る。

「先日、中国の複数のニュースサイトで、ある御曹司がアイドルと写真を撮るために1000万元(約1億9000万円)を支払ったと報じられていましたね」

 その上で、

「共産党の一党独裁の国に生きる中国の人々は、選挙自体に縁が薄い。それだけに、好みの女性に投票して応援するという行為はとても新鮮で、楽しいと感じるようです」

 いずれ、彼の地のAKB世代がかつての天安門事件のように、民主化デモを起こすかもしれない。

「ワイド特集 入梅の不都合な真実」より

週刊新潮 2015年6月18日号掲載

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