投資信託で利益を見込める「3つの方法」

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 投資信託の純資産総額が増えている。投資信託協会のデータによれば、今年4月末時点での、公募投信の純資産総額は約99兆円。前月末から約2兆1000億円増、前年同月比2割増となっている。

「この1年ほどで日経平均株価が約4割上がったことで、国内株式を組み入れた投信が大きな運用益を上げた。一方、対ドルの円相場は約2割下落したため、外貨建て資産の投信も儲かっており、資産総額を押し上げています」(経済部記者)

 もちろん、市場が活性化していくに伴い、個人マネーがどんどん流入している面もある。

「いい例がNISA(少額投資非課税制度)。投資総額約3兆円の6割強が投信なのです」(同)

 定期預金だと金利が低すぎる、かといっていきなり株を始めるのも……という個人投資家にとって、投信は魅力的な“商品”なのだ。

「逆に言えば投信は個人にとって、“定期預金よりも利回りのいい定期預金”という感覚のものなんですね。投信の数は6000本に迫る勢いで増えていますが、その多くが、“長期の資産運用”に適した構成になっている。市況の変化で変動があっても、長い目で見て目減りしない資産であればいい、というものなのです」(大手証券会社幹部)

■安く買って高く売れ

 だが、大きな運用益を得られるとなると、長期保有よりも1年以内の短期保有で売買し、利益を確保したいと思うものだが、

「ネックは、申込手数料と信託報酬です」(同)

 申込手数料とは、投信を購入の際に1回だけ、販売会社が受け取るもの。信託報酬は、投信を保有期間中、その資産額に応じて販売会社や信託銀行、運用会社に支払うものだ。一般的な投信の場合、3%前後の申込手数料と、毎年2%程度の信託報酬がかかる。これが意外に重いコストなのだ。

「短期で投信を売買する場合、最低でも申込手数料分以上の利益が上がらなければ、元本割れする」(同)

 ではどうすればいいのか。

「申込手数料が無料の“ノーロード投信”がおすすめです。ネット証券会社は店舗維持や人件費のコストが低いため、ノーロード投信を扱っていることが多い」(金融アナリスト)

 また、ETF(上場投資信託)を狙うのも手だ。

「これは東証で株と同じように売買されており、コストは基本的に売買手数料だけ。しかも日銀が、TOPIX(東証株価指数)連動ETFやJPX日経400連動ETFを継続的に買い続けて大きな含み益を出していますから、これに乗るのもいいでしょう」(同)

 さらなるコツは“バーゲンハント”、つまり安い投信を買って値上がりを待つことだ。経済ジャーナリストの田部正博氏は言う。

「“安く買って高く売る”は投資の鉄則です。その意味では、現時点では安いけれども、先々上がっていきそうな投信を見極めることが、短期売買で利益を上げる近道とも言えます」

 その指標となるのが、日経新聞にも掲載される投信の“基準価額”だ。これは投信設定(販売開始)前日の価格を1万円として計算したもので、日々変わるこの価格で売買する。

「例えば、石油などエネルギー関連会社株で構成される“資源株ファンド”は、原油価格の暴落で、中には3000円近くまで落ち込んでいるものもあります。が、最近原油はじわじわと値を上げていますから、それに応じて基準価額が上がったところで売れば、利益が上げられるのです」(同)

 そうは言っても、売り時が難しいとお考えの方へ。

「最初に目標額を設定すればいい。100万円を110万円にすると決めて、手数料を除いた資産額がその目標に達したら、色気を出さずに売ることです」(同)

 投信の短期売買でも、工夫すれば利益は上がるのだ。

週刊新潮 2015年5月28日号掲載

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