埼玉知事選に出馬? “陛下の執刀医”「天野篤」の評判

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 その「冠」が波紋を呼んでいる。

 8月9日の埼玉県知事選に向けて自民党からの出馬が取り沙汰されている、順天堂大学医学部の天野篤教授(59)である。

 埼玉県政関係者が言う。

「5月13日に自民党の埼玉県連が天野さんへの出馬要請を発表するや、新聞各紙は翌日の朝刊でこの件を報じました。当然、見出しでは“陛下の手術執刀”や“天皇陛下執刀”といった冠が彼につけられたわけですが、これがいわゆる“天皇陛下の政治利用”に繋がるのではないかという声が広がっているんです」

 改めて説明すると、日本国憲法第1章第4条で「国政に関する権能を有しない」と規定されている天皇陛下を、政治家が権威づけのために利用することは「不敬」とされ、はばかられている。

 自民党ベテラン議員によれば、

「もし天野さんが出馬することになっても、ポスターやチラシで“天皇陛下の執刀医”と謳うこともできなければ、その経歴をプロフィールに書くこともできません。マスコミだって触れないように配慮するでしょう。彼はその冠ゆえに抜群の知名度を持ち、その知名度ゆえに県連から白羽の矢が立ったのに、いざ選挙となったら肝心の冠を失う。ただの“医師”になってしまう彼にどれだけの勝ち目があるのか……」

 はて、埼玉県連会長の新藤義孝元総務大臣は、そのことにお気づきか。

「そもそも陛下に関することに触れるつもりは、毛頭ありません。地域社会に貢献したいという思いをお持ちの天野さんには出馬を前向きに検討していただいており、県連として支援体制を整えているところです」

「政治家」の冠と引き換えに払う代償は大きい。

週刊新潮 2015年5月28日号 掲載

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