訪米しても成果ゼロがわかっている「翁長沖縄県知事」は壊れたレコード

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 ドイツの鉄血宰相、ビスマルクは「政治とは妥協の産物であり、可能性の芸術である」との言葉を遺した。他方、自らの立ち位置から一歩も動かず、壊れたレコードのように「移設反対!」を繰り返すのは、沖縄県の翁長雄志知事(64)。政府首脳に続き、今度はホワイトハウスヘの「直訴」に打って出るというが……。もちろん成果は望めそうにない。

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「今の知事は、共産党をも超えるような“反政府路線”に走っていますよ」

 と、沖縄在住のジャーナリスト・惠隆之介氏が呆れるように、昨年11月の選挙で翁長知事が振り上げた拳は、半年経った今も、一層激しく、高々と振り回されている。

 3月には沖縄防衛局に基地移設工事の停止を指示したし、4月は来沖した菅官房長官に向かって「言葉が上から目線」とケンカを売ったのは記憶に新しい。

「実は、菅さんは知事との会談前日、副知事と打ち合わせをしていました」

 と裏側を明かすのは、全国紙の政治部記者。

「その際にはそんな強い言葉は出さないという話だったのに、会談の席でいきなりぶつけてきた。つまり知事は、確信犯的に官房長官を挑発したワケです。この5月9日に沖縄入りした中谷防衛相にも“発言が高飛車に聞こえる”と言い放つなど怖いものなし。5月末には訪米し、アメリカ政府に直接、移設反対をアピールすると息巻いています」

 虐げられた民の思いを背負い、圧政を敷く支配者の本丸へと乗り込む――もしかしたら知事は、自らをそんな英雄になぞらえているのかもしれない。

■ケネディ大使に袖

 ところが、である。

「残念ながら、翁長さんはアメリカに渡っても、ロクな人物には会えないはずですよ」

 と、外務省関係者が言う。

「アメリカ政府の高官は、うちや米大使館を通した案件でなければ、基本的には面談を受けません。知事はうちにお願いできないので、ケネディ大使に面会を申し込みましたが、すげなく断られてしまった。そこで、ワシントンに新しく開いた県の事務所や、地元選出の国会議員などの“独自ルート”を通じて会談相手を探していますが、交渉は難航しています」

 事実、4月下旬に知事の露払いとして訪米した、沖縄選出の玉城デニー代議士(「生活の党」幹事長)に聞くと、

「事前に上下院の軍事委員会のメンバーにアポ入れをしようとしたのですが、確実な返事はなかった。なので、結局、現地で14名の事務所に飛び込み訪問をしました。しかし、誰とも会うことができず、日本の議員秘書に当たる補佐官に、知事の親書を託して終えました。他に、議会のスタッフなどと意見交換をし、沖縄の現実を訴えましたが、“両政府は着々と計画を進める。あなたの意見は沖縄から日本政府に伝えるべきものだ”という反応が大半でした」

 アメリカの冷たい空気が窺い知れるのである。結局、翁長知事が向こうで実現できそうなのは、「小物」との会談と、シンクタンクでの講演くらいだというから、折角の大舞台も、成果ゼロとなりそうなのだ。

 冒頭の言を引くまでもなく、妥協を許さないリーダーの元では、沖縄の可能性も開かないことは、子どもでもわかる理屈。

 しかし、先の惠氏によれば、

「翁長さんは、知事のイスを勝ち取るために共産党や社民党と手を握り、当選後も議会運営に協力してもらっている。ですから彼らに逆らえず、その主張から少しも離れるワケにいかないのです。今後もバックにある勢力の期待に沿えるよう、より反対をエスカレートさせていくことでしょう」

 と言うから、付ける薬はなさそうである。

「ワイド特集 『五月ばか』に付ける薬」より

週刊新潮 2015年5月21日菖蒲月増大号掲載

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