昨日の友は今日の敵! 「中核派」に見限られた変節の人「山本太郎」

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 世が世なら“内ゲバ”の火種となっただろうか。機関紙に激烈な扇動記事を掲載し、山本太郎参院議員(40)への全面支援を打ち出していた中核派だが、アクの強い両者の蜜月は長続きしなかった。山本氏の変節ぶりに業を煮やした中核派は、ついに“同志”を見限ったというのだ。

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〈階級的怒りを解き放ち、階級全体の活性化・大流動をつくり出し、山本太郎氏とともに参院選闘争を全力で闘おう〉

 中核派の機関紙『前進』は、2013年7月1日付の紙面で高らかに山本氏支持を宣言した。時代がかったアジ文はさらに、

〈革共同は震えるような感動と厳粛な決意をもって、この重大情勢に立ち向かい、(中略)山本太郎氏とともに参院選闘争に総決起する決意だ〉

 結果、中核派の全面支援も手伝って、山本氏は直後に行われた参院選に当選する。“脱原発タレント”は一躍、赤絨毯を踏む身分へと出世を果たしたのだ。

 厳しい選挙戦で共闘し、圧勝ムードの自民党に一矢報いたことが、両者の絆を深めたのは自明だろう。

 ところが、最近になって公安関係者の元に意外な情報がもたらされたという。

「実は、あれだけ大々的に山本支援を表明していた中核派が、山本への支援を打ち切ったようなのです」

■主義主張を曲げた

 はたして山本氏は本当に中核派から三行半(みくだりはん)を突きつけられたのか。事の真偽に注目が集まるなか、

「山本さんの主張を支持できなくなったので、現在は支援していません」

 そう明言するのは、中核派全学連の斎藤郁真委員長だ。続けて斎藤氏は、

「参院選に出馬した際、山本さんは“避難の権利”を訴えて当選しました。避難の権利とは、原発事故の起きた福島県から避難を求める人々にも相応の補償をすべきという考え方です。しかし、当選後の彼はそうした権利を法案化する努力を怠っている。昨年12月の総選挙の頃から、野党の大同団結を目指す一方で、自身の主義主張を曲げるようになったと感じています。単刀直入に言えば、いまの彼は議会でイスの数を争うことにこだわっている」

 と、山本氏の変節ぶりを嘆くのだ。

 加えて、前出の公安関係者は、先の総選挙での山本氏の行動が中核派の不信を買ったと解説する。

「中核派は東京8区に候補者を擁立しました。にもかかわらず山本は、対抗馬である民主党の円より子の応援に駆けつけた。中核派が裏切られたと感じても仕方がない」

 公安調査庁OBの菅沼光弘氏が続けるには、

「中核派は“脱原発”を掲げる山本さんを利用して、組織の支持拡大を狙ったわけです。ただ、参院議員となった山本さんは、小沢さん率いる生活の党に合流したことで、中核派の支援を必要としなくなった。中核派としても、ライバル候補を推すような人物に利用価値などありません。山本さんはもはや彼らの敵になった。これがひと昔前ならば粛清されかねないですよ」

 山本氏本人に尋ねると、

「そもそも僕は、組織的な支援を受けないというスタンスです。中核派が支援をやめると言われても、僕から話すことはありません」

 とはいえ、中核派にまで袖にされては、とても革命的な活躍など期待できまい。

「ワイド特集 人間の愚かさについて」より

週刊新潮 2015年4月23日号掲載

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