チュニジアテロ被害「陸自3佐」の満額退職金に歯噛みする人

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 何しろ、テロリストの銃撃で負傷しながら、生還を遂げた女性の3等陸佐である。これが任務での出来事なら、英雄扱いされたに違いない。だが、チュニジアでの事件後に報道された彼女の自衛官らしからぬ振る舞いに防衛省は頭を抱えたという。しかも、彼女の“円満退職”は目前なのだ。

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 人目を憚るように帰国した陸上自衛官の結城法子(のりこ)氏(35)は現在、勤務先である東京・池尻の自衛隊中央病院に入院中だという。

 病院職員が明かすには、

「左耳などに怪我を負った結城さんは、外科の医師による診察を受けています」

 3月18日にチュニジアの首都・チュニスで発生したテロ事件では、邦人3名を含め、20名以上が犠牲となった。母親と観光旅行中だった結城氏も銃撃され、現地の病院で全身麻酔での手術まで受けている。彼女が心身に深い傷を負ったことは疑いないが、一方で、その言動が自衛隊に大きな影響を与えているのも事実だ。

■幹部自衛官

 今回の事件後、結城氏が自衛官に義務づけられている“渡航申請”を出さずに海外旅行へ出掛けていたことが発覚。中谷防衛相が国会で“誠に遺憾”と釈明する事態となった。その余波は勤務先にも及び、

「自衛官の身分を持つ医師や看護師に対して、内部調査のためにパスポートの提示が求められました。結城さんと同様に無断渡航が発覚すれば、懲戒処分の対象になります」(同)

 加えて、波紋を呼んだのは彼女の手記だった。

〈警察が助けに来てくれた時には安心して号泣してしまいました〉〈1日中泣いていたせいで目が腫れ上がって開けることができず……〉

 と、感傷的な言葉が並ぶばかり。元航空自衛官で、軍事ジャーナリストの潮匡人氏が嘆息する。

「医官とはいえ、彼女は歴とした幹部自衛官です。部隊を指揮するような立場にありながら、海外へ無断渡航していたことは問題でしょう。渡航申請書の提出には自衛官の所在を明らかにするだけでなく、機密漏洩やスパイ行為を防止する意味もある。さらに、女子大生が書いたような手記を目にした多くの自衛官は、“こんな指揮官のために命を懸けるのか……”と憤りを感じているはずです」

 結城氏は勤続11年を終える3月末での退職を予定していたが、今回の一件を受けて、懲戒処分が出るまで留め置かれている。ただ、退職金については“満額”が支払われる公算が高いという。潮氏によれば、

「私が勤続11年半で退職した際、彼女と同じ3佐でしたが退職金は500万円を超えました。医官の給与は同じ階級の自衛官と比べてほぼ5割増しなので、退職金も700万~800万円になると思います。退職金は殺人など、重大な不祥事を起こして懲戒免職にでもならない限り、基本的に満額が支払われます。彼女の場合は戒告、つまり口頭での注意程度でしょう」

 退職金を支給される“被害者”は、今も警察関係者が張りついたままの病室で沙汰を待つ身だが、

「彼女は担当の医師に対して、“なんで外出できないんですか”“早く退職させてください”と詰め寄っているそうです」(先の病院職員)

 と、ここでも首を傾げたくなるような一面を覗かせているという。

「ワイド特集 人間の証明」より

週刊新潮 2015年4月16日号掲載

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