減収補償を詐取 スナックや風俗での散財 「原発補償金」ジャブジャブの日常的荒廃(4)

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 東日本大震災から4年。原発事故は収束せず、今なお8万人の避難民が不自由な生活を強いられている。「『原発補償金』ジャブジャブの日常的荒廃(1)(2)(3)」では補償金のもたらした悲劇的な風景と補償金制度について解説した。復興に結びつく有意義な補償金のあり方を考える。

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 東電は就労不能損害賠償を今年2月分までで打ち切った。しかし東電は「個別のやむを得ないご事情により、就労が困難な状況にある方につきましては、個別のご事情に応じてお取扱いをさせていただきます」と補償が続く可能性を残している。

 しかもこの減収補償にはこれまで抜け道もあった。

「私は覚醒剤の密売で実刑判決を受け、震災時は刑務所に収監されていました」

 と語るのは、大熊町出身の30代の男性だ。生活圏は関東だったが、住民票を故郷に置いていたため、出所後の2012年から月10万円の慰謝料を受給。しかも、内定を取り消された学生が逸失分の賠償を受け取っていることを知り、

「出所後、帰還困難区域内の会社で働くことが内定しており、月給30万円もらうことになっていたが、放射能汚染でその道を絶たれたというストーリーを作り、申告しました。もちろん会社にも話を合わせてもらい、必要書類を提出したところ、認められ、30万円を受け取ってきました」

■補償金漬けで遠のく復興

 避難民の中にはこうした補償金を貰い、有用とは思えぬ形で散財する者もいることは縷々述べてきた通りだ。繁華街の田町では、

「2週間連続で店に飲みに来た、大熊町出身の板前さんがいました。毎日7~8本、シャンパンを空け、l00万円くらい使ったよ」(ラウンジのホステス)

 別のスナックのホステスもこう言う。

「去年の秋まで週4回通ってきた60代の元大工さんがいました。大熊町から避難してきて、借り上げ住宅に住んでたけど、預金通帳を2通見せられ、ビックリしたの。1通の預金残高は2000万円台で、もう1通は3000万円台だったから。夢はマンション経営で、“自分の部屋の隣に、君の部屋も用意してあげるから”と口説かれたけど、丁重にお断りしたよ」

 一部の避難民の行動が大きくあげつらわれている面もあろうが、この手の話が掃いて捨てるほどあるのだ。

 これまで避難指示が解除されながら、街の機能が戻らず、帰還を果たせない避難民は多くいる。こうした人たちの帰郷と生活再建を支援するための補償金の有意義な活用法はないものか。

「減収補償にしても、働かなくても補填してくれるのだから、仕事探しに本気で取り組む人がどれほどいることか。今なお遊んでいる被災者は、勤労意欲がそがれてしまった人たちです」

 と訴えるのは、広野町のNPO法人『ハッピーロードネット』の西本由美子理事長だ。

「私は、補償をすべて否定しているわけではありません。年金暮らしのお年寄りややむを得ず就労できない人など、本当に必要な方への補償は大事です。そうでない賠償の実態があることが問題だと主張しています。それより賠償金は、古里に帰り、復興を目指す人のために、5年間税金を無償にする原資や、インフラ整備などに活用すべきです」

 避難民の生活を立て直すための原発補償金が、郷里で再建を目指す被災者の自立を逆に妨げるケースも生んでいるとすれば、これほど滑稽な矛盾はあるまい。今後も続く補償のあり方を、根本的に見つめ直す時期が来ていると言えよう。

「特集 1億5000万円貰った世帯もごろごろ! 『原発補償金』ジャブジャブの日常的荒廃」より

週刊新潮 2015年3月19日号掲載

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