転ばぬ先の「警察学校」オープンキャンパス

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 受験者が3年で1万人以上も減少――と言っても、どこぞの大学の話ではない。首都の治安を担う警視庁の受験者数である。2010年度の約3万人から徐々に減って、13年度は約1万8400人にまで落ち込んだのだ。

 危機感を持った警視庁は3月1日、同庁の教育機関である警察学校(東京・府中市)を受験希望の高校生や大学生、保護者らに初公開。「警視庁警察学校オープンキャンパス~採用フェスタ2015~」なるイベントを開催する。

 警視庁警察学校の広さは9万1900平方メートルで、東京ドームの約2倍の敷地内に、校舎や寮、体育館、1周400メートルのトラックなどがある。

「学生数は時期によって異なりますが、約2000名が寝食を共にして研鑽を積んでいます。新任警察官だけでなく、捜査やSP(警護官)のプロを養成するコースで学んでいる警察官もいます」(警視庁)

 このオープンキャンパスの催しでは、仕事の内容をわかりやすく説明し、警視庁の魅力をアピール。個別受験相談にも応じるというから、学生さんを下にも置かぬリクルート作戦。これまでも受験者を対象にしたセミナーなどを行なってきたが、深刻な人材不足に手を拱(こまね)いてもいられなくなったのだろう。

「キャンパス内にブースを設置し、装備や資材、機材を展示するほか、SPや白バイ隊、特殊救助隊が訓練を実演します。また来場者には指紋採取を体験してもらうなど、広範囲に及ぶ業務の内容を紹介します」(同)

 元バドミントン選手でスポーツジャーナリストの陣内貴美子氏が「一日採用センター所長」を務めるほか、機動隊所属でアテネ五輪レスリング銅メダリストの田南部力警部補らによるトークショーも。

 5年後の東京五輪には世界各国から様々なVIPが訪れる。警備を取り仕切る警視庁の真価が問われよう。オープンキャンパスの試みが転ばぬ先の杖、いや優秀な人材獲得につながれば結構なことなのだが……。

週刊新潮 2015年2月26日号掲載

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