「退職金2000万円で一生食うに困らない」という「桐谷さん」の優待生活

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 いまやカリスマ投資家として名を馳せる棋士の桐谷広人氏(65)。その風変わりな投資哲学は、同年代のシニア層からも熱烈な支持を集める。“株だけで食う”を地で行く、桐谷流の真髄を御本人が語り尽くす。

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 皆さんは株を単なるギャンブルだと思っていませんか。それは大きな間違いです。株式投資には“狩猟型”と“農耕型”の2種類があります。株価が上がったら売る、下がったら買うを繰り返すのが狩猟型。私がオススメする優待生活は農耕型です。様々な株を買うことが“種まき”で、年に1、2回の配当や優待が“収穫”に当たります。

 実は、私も以前は信用取引で“猛獣狩り”に励んでいました。最も儲けていたのは、ホリエモン(堀江貴文)がライブドア事件で逮捕される直前の2005年末。資産総額は3億円に達しました。ところが、ホリエモンが逮捕されると、サブプライムローン問題やリーマンショックが立て続けに起きて、資産は5000万円までガクンと目減りした。

 このときに私は考えを改めたんです。“狩猟”ではなく“農耕”で生きようって。

 皆さんが優待生活を始めるなら、まず身の回りにどんな店があるか調べることから始めるといいでしょう。次に、その店を運営する企業が高い利回りの優待を出しているか、配当があるかを調べます。そして、株価が底値圏であれば即“買い”です。

 たとえば吉野家やマクドナルドは全国にチェーン展開しているので優待券が使いやすい。近所に店がなくても、レストランチェーンを展開するコロワイドは、株主が申込書を郵送すると優待商品を送ってきます。

 私の場合、3食全てを優待券で賄いますし、洋服がほしくなったらタカキューの背広が無料で買える。松竹の優待で映画を観まくったお蔭で、映画評の仕事も舞い込むようになりました。

 さすがにやり過ぎかもしれませんが、一般の方でも手元に3000万円あれば優待だけで生活できます。同じ金額を銀行に預金しても、利息は年間1万円程度ですが、優待株なら優待と配当で5%程度の利回りがある。つまり、年間150万円程度のリターンとなります。年金を受給している方は、退職金の2000万円でも十分に生活できると思いますよ。現に私は、配当と優待だけで家賃と光熱費以外、ほとんどお金を使わずに暮らしていますから。

 優待生活のポイントは、多くの銘柄を持つこと。保有株式が100株でも、1万株でも、得られる優待は1つのことが多いため、小口株主のほうが利回りがいい。つまり、100株ずつ10銘柄買っておけば、10種類の優待がくる。

 現在、3500社ある上場企業のうち、優待があるのは1200社程度。自分に合った優待を探すところから始めてみましょう。

「特集 カオスの時代に俗人的な『大人のお金』ガイドブック」より

週刊新潮 2015年2月19日梅見月増大号掲載

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