イスラム国の憎悪が広がる「ツイッター」の仕組み

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 ツイッター(Twitter)の利用者は、全世界で約2億5000万人。これを“悪用”しているのがイスラム国である。日本人向けにメッセージや後藤さんらの動画をツイートして、拡散させている。彼らの憎悪は、如何にして広がるのか。

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 下の写真をご覧いただきたい。#ズワイガニ、#大寒、#斉藤仁……といった唐突と思える単語の下に拘束された後藤さんらの画像がツイートされている。これこそ、イスラム国関係者のツイッターなのだ。

こうして恐怖と憎悪が拡散する……

 ツイッターの運営側は、昨年夏以降、イスラム国関係者のアカウントを凍結する措置を取っている。結果、今年1月までにイスラム国のものと確認された約800件と、関連が疑われる約1万8000件のツイッターのアカウントが凍結された。

 だが、英国の『デイリーテレグラフ』紙(1月28日付)によれば、〈イスラム過激派たちには、彼らのメッセージを広めてくれる4万5000ものツイッターユーザーがついている。その中には何千ものボットも含まれ、頻繁にアカウント停止になるにもかかわらず、大いに活躍しているという〉。

〈ボット〉とは、自動投稿プログラムのこと。ITジャーナリストの井上トシユキ氏によれば、

「一つの記事を書いて投稿しておけば、あとは自動的に関連記事や画像を投稿し続けてくれます。また高度なものになると、画像に適当に文章をつけてツイートしたり、四六時中投稿し続けることも可能です」

 イスラム国は4万5000ものツイッターユーザーを抱えている上、ボットを多用している。これでは、ツイッターの運営側の“取締り”が追い付かない。

 さらに、彼らは、#記号と日本語や半角英数字で構成する〈ハッシュタグ〉を巧みに利用している。冒頭ご紹介した#ズワイガニや#大寒などが、ハッシュタグである。

「例えば、#の後に週刊新潮と入れてツイート。さらにこれをクリックすると、週刊新潮に関する話題を一覧で見ることができます。イスラム国関係者はこれを活用。ツイート内容に全く関係のない話題でも、日本で頻繁に使われている言葉をハッシュタグに付けて、処刑動画や自分たちのメッセージを日本人に見せようとしているのです」(同)

 ジャーナリストの安田純平氏も、

「今はネット上の言葉は、グーグル翻訳で自動翻訳できます。ズワイガニといった日本語のハッシュタグが付いているからといって、日本人が関与しているとは限りません」

〈ボット〉と〈ハッシュタグ〉で、自分たちのPRを行うイスラム国。見たくもないものを見せられた日本人は全くいい迷惑である。

「特集 日本に宣戦布告! 『イスラム国』狂気の残響」より

週刊新潮 2015年2月12日号掲載

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