「女子徴兵」を強化する「北朝鮮」人口事情

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 箸が転んでもおかしい年頃の女子たちも、この“方針転換”ばかりは笑って流せるはずがない。

 男子のみに兵役義務が課されてきた北朝鮮で、今年4月より、満17歳から20歳までの女性も対象となることが決まったのである。

 デイリーNKジャパン編集長の高英起氏が語る。

「これまで北朝鮮では女性兵士は志願制とされてきたものの、その数は決して多くなかったと思われます」

 突然の義務化に、すわ戦時体制かと訝(いぶか)ってしまうが、

「いや、そこまで怖がらなくても大丈夫。ポイントは、徴兵対象者が90年代後半生まれだということです」

 当時、北朝鮮は“苦難の行軍”と呼ばれる大飢饉に見舞われ、数百万人の餓死者が出た。子供を持つ余裕はないと考える夫婦も増え、出生率は下がるばかり。

「つまりこの世代は人口が少ない。それでも兵力を維持するには、女性を駆り出すしかなかったのでしょう」

 気になるのは、彼女たちの仕事内容だ。兵士といえど四六時中、銃を手に取り訓練に勤しむわけではなく、

「北朝鮮の場合、兵士に課される主な役割は農村支援と建設労働です。大本には、軍が国の根幹を担うべしという発想がありますから」

 男子の10年と比べれば短いが、女子の兵役期間も3~6年と相当なもの。

「従来、学校を出たばかりの女性は多くが商業に携わってきた。でも、今後しばらく、街から10代後半の店員が消えるかもしれません」

 兵力と引き換えに、百貨店の売上が下がったりして。

週刊新潮 2015年2月19日梅見月増大号掲載

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