“利回り4%”もある「高配当銘柄」の仕掛け

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 投資家として当然得るべきものは、応分の利益である。株式に投資しているならば、それは「配当」だ。配当は企業の利益から支払われるものだから、当然、業績がいい企業の株を持っている必要がある。しかもうまく運用すれば、かなりの高利回りも期待できる。

「株投資での利回りとは、購入株価に対する配当額の割合。例えば武田薬品工業の場合、2月2日時点での株価は5888円。1株当たりの配当予想が180円ですから、利回りは約3%です。単元株100株だと、年間配当額は1万8000円になります」(経済ジャーナリストの田部正博氏)

 重要なのは企業の業績と、予想配当と、株価だ。仮に1株当たりの配当額が低くても、株価も低ければ利回りはよくなる。

「気をつけなければならないのは、3月決算の企業の場合、配当はあくまで“予想”だということ。最終的な配当額は、決算後の4、5月に明らかになり、株主総会での決議を必要とするからです」(同)

 2015年3月期決算が好調でも、即高配当につながるとも言い切れない。

「株主への利益還元も重要ですが、先行きを考えて内部留保に回すため、減配もあり得る。見極めは、実は難しいのです。『四季報』などで研究して、何年も配当を続けている堅調な企業を選ぶか、インターネットで“高利回り銘柄ランキング”を参考にするのが手っ取り早いと思います」(同)

 ちなみに、現時点での高利回り予想銘柄をピックアップすると……。

「まずは商社系です。住友商事や三井物産が4・2%、伊藤忠商事が3・9%と高い。金融系では、松井証券やみずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループが3%台。製造業だとダイハツ工業、日産自動車、日立マクセルも3%台ですね」(同)

■今年はチャンス?

 次に、買うタイミングだ。3月期決算企業の場合、3月31日の“権利確定”には、今年だと3月26日時点で株を保有している必要がある。この26日が“権利付き最終日”だが、これを過ぎれば、翌日に売却しても配当を受けられる。もっとも、

「高配当が予想される企業の株は例年、2月中旬ごろから権利付き最終日にかけて上がっていきます。だから、購入株の検討は今やる必要があります」(同)

 2月中旬に買って3月下旬まで上がり続けるなら、配当を狙わずに、権利付き最終日前に売って利益を得る、という方法もあり?

「もちろんありですが、この春は特に例年とは違い、株投資がお得です」(同)

 理由は2つ。インフレ目標2%達成のため、日銀がETF(上場投資信託)や国債などを買い増すという“黒田バズーカ”が存在することと、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、債券の他に株式で年金を運用しているからだ。

「日銀とGPIFが株を買い支える形になるので、大暴落が考えにくいのです。ギリシャ問題や円安の是正、アメリカ景気の後退などのリスクもありますが、安全資産である国債の金利が0・3%ほどであることを考えれば、今が株を買うチャンスだとも言えます」(同)

 また、資金に余裕があれば、こんなポートフォリオを組むこともできる。

「配当は、年2回に分けて行われますが、決算月が違えば配当月も違う。決算月の違う株を複数買って、毎月のように配当を手にすることだってできます」(同)

 ならば一刻も早く高配当株を! といきたいが、急がば回れ。株にはさまざまなリスクが付き物だ。研究に研究を重ねるべし。

週刊新潮 2015年2月12日号掲載

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