「朴槿恵」批判メディアに告訴乱発の折も折「名誉毀損」で実弟が負けた

国際 韓国・北朝鮮

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 もし、日本だったら、大騒ぎになっていたに違いない。韓国のあるメディアが、朴槿恵(パククネ)大統領(62)の実弟が殺人事件に関わっていることを示唆する記事を掲載。すると、検察は実弟の訴えに基づき、雑誌記者ら2人を名誉毀損の罪で裁判にかけた。その結果は、朴政権が窮地に追い込まれるはずのものだったのだが……。

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 韓国では、とりわけセウォル号の沈没事件に関して、政権に批判的な報道をしたメディアに対する告訴が相次いでいる。事故当日、朴大統領が元側近と面会していたという噂をコラムで取り上げた産経新聞の前ソウル支局長も名誉毀損で在宅起訴され、現在、裁判中の身であるのはご存じの通りだ。

 その折も折、ソウル高裁は1月16日、朴大統領の実弟である朴志晩(チマン)氏(56)への名誉毀損に問われた雑誌記者ら2人に対し、一審に続いて控訴審でも無罪判決を下したのである。

 ソウル特派員が解説する。

「3年半くらい前、朴大統領の親族に当たる男2人が死亡する事件が発生しました。2人はいとこだったのですが、警察は片方がもう片方を刺殺してから首を吊って自殺したという結論を出し、捜査を終結させました」

 ところが、韓国の左派系雑誌『時事IN』が、2012年12月の大統領選の最中、朴志晩氏が2人の殺害に関与したことを仄(ほの)めかす記事を掲載した。

「そのきっかけとなったのは、志晩さんの妹の夫が、刺殺された方の男に殺されそうになったと言い出したことでした。しかも、志晩さんが裏で男の糸を引いていたと公言したため、志晩さんの名誉を傷つけたとして裁判に発展。その法廷で、逆に男が殺害指示を暴露する可能性が高まり、志晩さんが口封じのために亡き者にしたのではないか、という疑いが囁かれたのです」(同)

 これまで何度も麻薬や覚醒剤の使用で捕まった実弟は、朴大統領にとって頭痛の種。そこへあらたに、政権を崩壊に導きかねないスキャンダルを持ち込んできたのだ。

■大衆迎合

 しかしながら、韓国では、この裁判にさほど関心が示されていないという。

 韓国人ジャーナリストに聞くと、

「同じく左派系の『ハンギョレ新聞』などは無罪判決を評価する記事を掲載していましたけど、最大手の『朝鮮日報』などはほとんど紙面を割いていない。『時事IN』は、大統領選のタイミングに記事をぶつけてきたので、当初から謀略ではないかという見方も少なくありませんでした」

 だとしたら、なぜ、無罪判決になったのだろうか。

「韓国では、検察は時の政権の顔色をうかがい、裁判所は大衆に迎合すると言われている。例えば、日本の企業に対する元徴用工の賠償請求を認めた裁判などはその最たるもの。国家間で結ばれた日韓請求権協定を無視し、国民の要求に従って個人の請求権を認めたわけですから」(同)

 となれば、政権の国民的不人気も相俟って、裁判所は朴志晩氏に負けの宣告をしたということか。

 時事通信元ソウル特派員の室谷克実氏が言う。

「そもそも、韓国は訴訟社会ですが、朴政権は勝とうが負けようが関係なく、メディアを訴えている。それは、政権に不利な報道をするメディアに対し、嫌がらせさえできればいいというスタンスなのです」

 挙げ句、世界中で、韓国の“表現の自由”が問われている。

「ワイド特集 男の顔は履歴書 女の顔は請求書2015」より

週刊新潮 2015年1月29日号掲載

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