「ボケ防止には頭を使え」は間違っていた 衝撃の新常識

ドクター新潮 医療 認知症

  • ブックマーク

Advertisement

 人は誰しも老いるもの。物忘れも少しボケるのも当たり前の自然現象なのだが、日頃から頭を使っているから大丈夫と思っている人も多いだろう。ところが、TV番組「林修の『今でしょ!講座』」にも出演している帝京大学医学部附属病院の外科医・新見正則医師は、著書『死ぬならボケずにガンがいい』(新潮社)のなかで、こう明かす。

「ボケ防止には頭を使えばいいと思っている人も多いのですが、それよりも歩くのがいいとわかってきました。本好きは、むしろボケが急速に進むと思います」

 え? 頭を使っていればボケないんじゃないの?? どういうことだろうか。

■ボケないためには筋肉量が重要

 知的好奇心がつよいタイプは、元気なうちは自分で新しいことを勉強するなど、ボケとは一番縁遠いように見える。確かに、読書はボケ始める前の頭の体操には効果がある。しかし、長年多くの高齢者を診てきた新見医師は言う。

「少しボケても出来る習慣や趣味を持っている人のほうが、ボケが進みにくいのです。カラオケ、料理、絵画、ボランティア。歌も聴くよりは自分で歌うのが好きな人も元気。老人会のおしゃべりもいいでしょうね」

 高尚な趣味よりも、仲間と楽しむ社交的な趣味のほうが、ボケ予防にはいいらしい。

 そして何より、歩かなくなるとボケが進行するそうだ。毎日の散歩で、外からの刺激を受けることによって、身体も脳も活性化する。筋肉量は年齢とともに低下するから、極端な運動をする必要はないが、歩く筋力を保ち続けることが重要。1日2回できれば30分、じとーっと汗をかくくらいの散歩がオススメだ。ジョギングは、着地のときに体重の3倍近い重さが膝にかかるため、膝を壊す危険がある。実際、新見医師は、ランニングで膝を壊して散歩もしなくなった人を何人も知っているという。

 散歩じゃ物足りないという人にオススメなのが、速足で歩くこと。坂道や階段をなるべく歩くのも効果的だ。舗装された平らな道路ばかり歩いていても、筋肉の一部しか使われていない。砂利道や砂浜など、不安定な地面を選んで歩くと筋肉をまんべんなく使うことになり、ボケ防止にいっそう効果がある。

 実は、脳の運動をつかさどる部分(運動野)の多くを占めているのは、顔と指の神経支配領域。つまり、指をしっかり使えば、脳も活性化することになる。顔の筋肉(表情)も大切だ。おしゃべりが脳を刺激するためだ。新見医師は言う。「社交的な人のほうが、やっぱりボケにくい。要するに、アウトプットが重要です」

 老人会なんてイヤと言っているアナタ、衝撃の危機がすぐそこに?!

■お金をかけない「ちょい運動」がいい

 新見医師が勧める「ちょい運動」とは、要するに毎日の散歩のこと。

 週末、ジムに行っているから、毎日歩かなくても大丈夫という人もいるだろうが、それは危険な考えだ。パソコンの前で一日中仕事をしているような人は、なるべくこまめに動かないとダメらしい。週末のジムは免罪符にならない。家事は単調な仕事だが、むしろこまめに動くので健康的だという。

 それも出来ない人には、通勤のときに路上の黄色いマークを選んで歩くといいそうだ。ちょっとした不安定な凸凹歩きを楽しめる。不安定要素をもっと体感したい人にオススメなのは、バランスボール。最初は座るのも難しいので、誰かそばにいてもらったほうがいいが、日頃使わない筋肉が刺激されて脳が活性化する。

「ボケ」予防の知識も日々進化している。最新常識をチェックし、自分らしい最期を迎えよう。

デイリー新潮編集部

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。