意外と論理的だった「デーブ大久保」楽天監督の「血流理論」

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 西武コーチ時代の2008年に女性への傷害容疑で書類送検され、10年には菊池雄星投手への暴行が発覚して解雇――すっかり“暴力指導者”のイメージがついてしまった“デーブ”こと大久保博元・楽天監督(47)だが、意外や意外、その指導理論は大学教授仕込みだった。

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 デーブ監督ご当人が語る。

「先生との出会いは3年ほど前。紹介してくれたのは、茨城県人会の後輩でプロゴルファーの横田真一。10年、彼が13年ぶりにツアー優勝した際、ある先生の元で自律神経の勉強をした成果だ、と教えてくれたんです」

 その“先生”とは、小林弘幸・順天堂大教授(54)。『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』など多くのベストセラーを著し、テレビでもおなじみだ。

「まず先生は、一番大事なのは“血流”だ、と教えてくれました」

 デーブ監督の説明を要約するとこうなる。寒さで手がかじかむと血流が悪くなって指先が動かなくなる。逆に、血流を良くすればパフォーマンスが向上する。それには、自律神経つまり交感神経と副交感神経のバランスを保つ必要がある……以下省略するが、とにもかくにもデーブ監督は小林教授にぞっこんのようで、

「12年の春季キャンプでは久米島まで来ていただき、先の秋季キャンプでも1泊してもらって選手たちに講義していただきました。常に連絡は取り合い、キャンプになると、先生の都合はお構いなしで毎日のように電話します。“今日は雨なんですが、どんな練習をしたらいいですか”とかね」

■1000本ノックも推奨

 デーブといえばメジャー流の“アーリーワーク”。プロ野球に詳しい方ならそう連想するだろう。彼が西武コーチ時代に導入した、夜明け前から朝飯抜きで体を動かす練習法だが、

「小林先生の理論だと、朝日が昇って交感神経が優位になってくるし、朝食を摂ることで細胞が活性化する。だから、秋季キャンプでは朝食を朝6時にして、練習は9時からに変えました」

 食事そのものにも小林教授のアドバイスが及ぶ。

「どの球団もランチは30~40分で済ませてしまいますが、先生に聞くとこれが良くない。ゆっくり食べることで自律神経のレベルが均衡する。だから、次の春季キャンプからはランチタイムを1時間取ります。そんな球団は他にないと思いますが、その方が怪我もしにくくなるんです」

 デーブ監督は、挨拶にもこだわる。“ながら挨拶”はダメで、必ず立ち止まって一礼させる。これも“集中力を高める”という小林教授の金言あってこそである。

「1000本ノックも“ぜひやった方がいい”とのことでした。医学的な裏付けがありまして……(以下略)」

“呼吸が血流を良くする”ということで、選手たちのリストバンドに香水を付けさせ、緊張した時に匂いを嗅ぐようにも指導しているのだとか。

 スパルタと言われるデーブ独特の指導法には、それ相応の理論的裏付けがあったのだ。では鉄拳制裁は?

「ありえません。選手は殴られて得るものなど一つもありませんから」

 さすがに、“血流理論”をもってしても、鉄拳制裁の効能は裏付けられなかったようで。

「ワイド特集 羊の皮を被った狼 虎の皮を着た羊」より

週刊新潮 2015年1月1・8日新年特大号掲載

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