「志茂田景樹」ご子息は破産2度からカリスマタクシー運転手

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 奇抜なファッションで知られる志茂田景樹氏(74)が作家デビューを果たしたのは20以上の仕事を転々とした末のことである。その次男・大気(ひろき)氏(38)も、放蕩と破産の果てに出会ったのがタクシー運転手という“天職”だった。

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「この仕事に就いて本当に良かった。それくらいタクシーは僕の人生観を変えてくれたんです」

 ニコニコしながらそう語る下田大気氏だが、運転手になる前は絵に描いたようなドラ息子だった。12歳でバイクの窃盗で補導され、中学では競馬場やパチスロ店に入りびたり、高校生になると闇カジノの常連になっていた。パーティーのプロデュースで稼ぐと、金ムクのロレックスを腕にはめて盛り場をのし歩いた。

「カジノで負けては憂さ晴らしに風俗通いを始めたのもこの頃でした」

 この時期、芸能界にもデビューしたが実力不足でフェードアウト。高校卒業後、健康食品販売の代理店を始めるものの、すぐに行き詰まる。次に手を出した宝石の販売で儲かったと思ったら、

「強引な販売でキャンセルが続出、莫大な借金を抱えてしまったのです。父から500万円を借りたのですが、これも闇カジノで全部スッてしまった。追い詰められた私は24歳で自己破産してしまうのです」

 暴力事件を起こしてマスコミを騒がせたのもこの頃である。その後もキャバクラのプロデュースなどを手掛けるが、ことごとく失敗。そして、最後はFXに全財産をつぎ込み、再びすべてを失ってしまう。気が付けば32歳になっていた。

■年収2000万円

 そんな大気氏に転機をもたらしたのは、知人にかけた一本の電話だった。

「その人も昔は社長だったのですが、今はタクシーの運転手をやっているという。生来の車好きだった私にとって、苦境を脱するチャンスだと思えた。すぐ運転手の仕事を紹介してもらうことにしたのです」

 2009年10月、タクシー運転手として初めてハンドルを握った大気氏だが、初日で5万9000円を売り上げる。この日、社内で2番目の成績だった。勝算もあったという。

「都内の盛り場でも、新宿・歌舞伎町は近距離ばかりで酔客も多く、運転手は行きたがらない。でも、歌舞伎町で遊び歩いた私は、ここでこまめに客を拾えば、効率よく売り上げを伸ばせると思っていました。そこで、あえて歌舞伎町を主戦場にしたら大当たり。すぐに売り上げで社内トップになり、3カ月目には月間の営業収入が100万円を突破したのです」

 盛り場の路地まで知り尽くしていた大気氏は、客がタクシーを探す場所が手に取るように分かる。乗車場所を100カ所ほど記憶して回っていると、ゲームのポイントを稼ぐように客が拾えた。売り上げは常に平均の2倍近くになり、気が付けばカリスマ運転手と呼ばれるようになっていた。そんな大気氏の現在の年収は約2000万円に届く。

「最近は運転手の仕事を減らしていて、こちらは年収100万円ぐらい。残りは、運転手のためのコンサルタントと人材紹介業で得たものです。業界を改革しようと思って始めたんですよ」

 放蕩と破産の苦い過去も、意外なところで財産になったのだ。

「ワイド特集 羊の皮を被った狼 虎の皮を着た羊」より

週刊新潮 2015年1月1・8日新年特大号掲載

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