生き生きと再現された藤圭子との会話/『流星ひとつ』

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 宇多田ヒカルは、もう『流星ひとつ』を読んだろうか。すでに読了しているならば、新作アルバムを制作するパワーを与えられたのではないだろうか。通りすがりの読者に過ぎない身として読んでも、心揺さぶられるものがあるのだから。

 藤圭子の「水晶のように硬質で透明な精神」の「最も美しい瞬間の、一枚のスナップ写真」と、「後記」で沢木耕太郎は書いている。マスコミ不信でインタビュー嫌いの二十八歳の演歌歌手が、引退の間際に心を開いた三十四年前の言葉は粒だっていて、藤圭子名言集のおもむきをも呈している。...

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