偶然の出会いに導かれた人生/『首里城への坂道』

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 与那原恵さんの著作を読むまで鎌倉芳太郎という人のことを知らなかった。大正末期から昭和の初期にかけて、琉球の芸術や文化財について広範な調査をし、膨大な資料を残したその功績は、戦後の首里城復元や紅型(びんがた)(沖縄独自の型染め)復興に活きている。鎌倉自身は六十歳になる頃、紅型の染織を始め、わずか十五年で人間国宝に認定されるというあまり例のない経歴の持ち主でもある。
 偶然の出会いに恵まれた人生だ。香川県に生まれ、東京美術学校を卒業して教師として赴任した沖縄で、豊かな琉球文化に出会う。...

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